文献詳細
画像診断
Milk of calcium renal stoneの症例
著者: 遠藤文康1 大槻紀子2 洪芳樹3
所属機関: 1白十字総合病院泌尿器科 2白十字総合病院放射線科 3白十字総合病院内科
ページ範囲:P.698 - P.699
文献概要
入院目的 糖尿病精査。
既往歴 特記すべきことなし。
現病歴 1997年12月に当院健診センターにて高血糖を指摘され,糖尿病の診断および加療目的で12月29日に当院内科へ入院した。入院時の立位腹部X線撮影で,左横隔膜下に腎の上極と接するように円形の腫瘤様陰影と,その内部下方に線状の石灰化像を認めたため,当科紹介となった(図1)。
現症 腹部所見に異常はなかった。
検査成績 尿検査pH6.0,尿糖(3+),尿潜血(判),沈渣 蓚酸カルシウム結晶,BUN16.6mg/dl,CrO.5mg/dl,UA 2.1mg/dl,BS389mg/dl。腹部CTスキャンでは左腎上極より内上方に突出する径6cmの辺縁,境界明瞭な嚢胞性病変と,その内部に水平面を呈する石灰化像(いわゆるmilk of calcium sign)が認められた(図2)。嚢胞内部は造影されず,尿路との交通はみられなかった(図3)。以上より,milk of calcium renal stone,cystic typeと診断した。Milk of calcium renal stoneのcystic typeは特に症状がなく,腎機能悪化の所見も示さず自然消失の例もみられることから,治療を行わずに経過観察のみとした。
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