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綜説
文献概要
染色体末端にはテロメアと呼ばれる特殊な反復配列構造が存在し,その長さは細胞分裂のたびごとに短縮することが知られている。このことから,テロメアは細胞分裂時計としての役割を担うと想定されてきた。また,短縮したテロメアはテロメラーゼという酵素によって伸長・付加され,このテロメラーゼ活性の発現は細胞の不死化を介して発癌と強く関連していると推定されている。実際に,ヒト癌におけるテロメラーゼ活性の発現頻度は70〜100%と高い。一方,通常の正常細胞ではテロメラーゼ活性が認められないことから,テロメラーゼを悪性度診断や治療の標的とした臨床応用が考えられる。泌尿器科領域の腫瘍においても,膀胱癌の早期診断,および前立腺癌や副腎腫瘍の悪性度診断などにおいて,テロメラーゼが臨床応用できる可能性がある。
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