交見室
小児の包茎をどう扱うか
著者:
岩室紳也1
所属機関:
1神奈川県立厚木病院泌尿器科
ページ範囲:P.835 - P.835
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小児の包茎をどう扱うかについて,泌尿器科医の中でも統一した見解がない状況にあります。われわれも1993年までは積極的に小児の包茎を手術していましたが,1994年以降は宗教上の理由で親が希望する場合や用手的に整復できない嵌頓包茎以外は手術をしなくなりました1)。手術適応を変えるまでは,包皮口が狭い場合は手術以外に包皮口を拡げる方法はないと考えていました。安藤正夫先生の「小児真性包茎の治療についての考察」(本誌交見室,臨泌53:648-649,1999)にありますように,包皮がピンホール状の例,亀頭包皮炎を繰り返す例,嵌頓包茎の既往がある例や排尿時にバルーニングを来す例などを手術適応としていました。しかし,これらの例でも包皮翻転指導を継続することで手術適応がなくなることを経験したため,方針転換を図りました。
安藤先生がご指摘された脱落者の予後ですが,1999年7月末時点で包皮翻転指導を受けた1,725名中380名(22%)が冠状溝まで露出しないまま通院を中断しました。里帰り分娩18名以外は中断理由は不明ですが,家族の理解が得られなかったケースが少なくないと思われます。380名中2名は2歳と3歳の時点で亀頭包皮炎を起こし,1例は2歳時に恥垢で受診しています。包皮翻転指導を完了したケースで,亀頭包皮炎を主訴に当科を受診したケースはありません。