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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科53巻2号

1999年02月発行

雑誌目次

綜説

膀胱頸部の狭窄を示す疾患

著者: 矢野雅隆 ,   安田耕作

ページ範囲:P.103 - P.111

 膀胱頸部の狭窄を示す疾患(いわゆる膀胱頸部硬化症)は,女性には少ないが男性では20%の頻度で認められるといわれる。50歳未満で診断されるが,50歳を越えると発生率が激減する。前立腺肥大症が50歳から急増することから誤診されている可能性がある。2つの基本的な型に分けられる。1つは器質的狭窄で,もう1つは機能的狭窄である。器質的な狭窄が多いと思われるが,神経障害や前立腺肥大症が加わると機能的要素が加味されると考えられる。前立腺肥大症と同じ下部尿路症状を来す疾患であるので,さらに研究されてもよい病態である。

手術手技 基本手技・2

腎細胞癌—経胸腹的腎摘除術

著者: 大西哲郎

ページ範囲:P.113 - P.118

 腎細胞癌に対する腎摘除術に際して最も重要な点は,(1)腎摘時の手術操作に伴う腫瘍細胞の播種を避ける目的で,腫瘍操作前に腎動静脈を結紮,切断すること,(2)腎細胞癌とともに,腎周囲脂肪織,副腎,Gerota筋膜を一塊(en bloc)に摘除することである。この目的のため,腫瘍径の大きな症例や腎上極に主病変を有するような症例では,経胸腹的腎摘除術は手術視野の点で優れた術式である。手術に際して基本となる点は,(1)術前肺機能評価,(2)体位(約30°の半側臥位),(3)皮膚・肋骨切開線(第8肋骨開胸),(4)術後呼吸管理である。術後合併症としては,開胸操作に伴う胸壁運動障害や横隔膜切開による横隔膜運動抑制に伴う喚気障害がある。しかし,閉塞性喚気障害を伴った高齢者を除いて,合併症は軽微である。本術式は,症例の適切な選択によって,より高い根治性が達成可能となる術式である。

コメント

著者: 加藤哲郎 ,   野本剛史 ,   三木恒治

ページ範囲:P.119 - P.120

 手術の第一の基本は必要かつ十分な視野を得ることにある。その意味で経胸腹的腎摘出術は,泌尿器科医にとって必須のアプローチの1つといえる。開胸術はさほど侵襲の大きな操作ではなく,必要とあれぼ躊躇なく取り入れる姿勢が大切なことは,大西氏の述べることに同感である。以下に私の経験から,いくつか追加事項を述べさせていただく。

セミナー 泌尿器科領域の最新の薬物療法・2

制癌剤

著者: 宮永直人 ,   赤座英之

ページ範囲:P.123 - P.130

 泌尿器癌のうち,精巣腫瘍では化学療法を中心とした治療戦賂が確立しており,大量化学療法の導入によって治療成績はさらに改善するものと期待される。しかし,難治例に対しては大量化学療法でも限界があり,他の治療法を加えた集学的治療が必要である。膀胱癌では長期予後を改善するような化学療法の開発と膀胱温存療法への努力が望まれる。現在この領域では,cisplatinに次ぐ第二のエポックメーキングといえる新制癌剤は出現していない。Paclitaxelは今後,泌尿器癌の制癌剤としての臨床研究が強く望まれるところである。

原著

前立腺肥大症に対する生体組織内レーザー凝固術(ILCP)の経験

著者: 野口純男 ,   河上哲 ,   岸田健 ,   上村博司 ,   武田光正 ,   矢尾正祐 ,   窪田吉信 ,   穂坂正彦

ページ範囲:P.131 - P.134

 21例の前立腺肥大症の患者に対して生体組織内レーザー照射(ILCP)を施行した。穿刺回数は4〜16回(平均9.6回)であった。これらの症例について術前,3か月後,6か月後のIPSS,QOL,Qmax,体積および残尿量を評価した。3か月後で評価が可能な18例では,IPSS,QOL Qmax,体積,残尿量ともに全体の平均は有意に改善されており,6か月で評価が可能であった12例についてもすべての評価項目に関して術前と比較して有意に改善されていたが,3か月目と比較すると変化がなかった。合併症として尿閉2例,前立腺炎1例,後出血1例があり,再手術率は19%であった。以上より,ILCPは比較的安全な方法であり,適応を選べば有効な治療法であると考えられた。

悪性腫瘍切除後の陰茎再建

著者: 小宗弘幸 ,   原科孝雄 ,   井上義治 ,   高松亜子 ,   若松慶太 ,   多田英之 ,   山田拓己 ,   鎌田成芳 ,   谷澤晶子

ページ範囲:P.135 - P.139

 陰茎癌の治療は,最近の化学療法と放射線療法の併用による治療効果の向上と術後のQOLを考慮した結果,縮小手術が主流になっている1)。しかし,外科的手術による悪性腫瘍の根治的切除が基本であることには変わりはない。根治的手術と適切な再建術は,陰茎癌患者の予後とQOLの改善に貢献するであろうと考えられる。1997年までに,筆者らが経験した根治的腫瘍切除術後の1期的陰茎再建の4症例(表)のうちの2症例を紹介し,その手術方法と利点や合併症について考察する。

シスプラチン誘発遅延性嘔吐に対するグラニセトロン,メチルプレドニソロン併用療法の評価

著者: 荻原雅彦 ,   鈴木孝行 ,   柳田知彦 ,   鶴谷善昭 ,   石橋啓 ,   山口脩

ページ範囲:P.141 - P.145

 シスプラチン(CDDP)を含む多剤併用化学療法を2コース以上施行した尿路性器悪性腫瘍患者18例に対して,グラニセトロン(Gra)単独投与,Gra,メチルプレドニソロン(MPL)併用療法を行い,その制吐効果について無作為化クロスオーバー法で比較した。急性悪心・嘔吐に対する両群の制吐効果には有意差がみられなかったが,遅延性悪心.嘔吐に対する奏効率は,Gra単独群で52.8%,Gra,MPL併用群で81.9%と後者が有意に良好であった。Gra, MPL併用群における制吐効果の改善は,遅延性悪心.嘔吐の危険因子とされるCDDP総投与量70mg/m2以上,初期制吐の無効例,女性および前治療を有する症例において顕著であった。

症例

高度血尿で発症した若年性前立腺癌

著者: 尾山博則 ,   伊藤貴章 ,   野田賢治郎 ,   小川正至 ,   山本真也 ,   三木誠

ページ範囲:P.147 - P.149

 43歳,男性。主訴は高度血尿。出血性ショックの状態で近医にて緊急開腹止血術施行後,当科へ転院となる。手術時の病理組織は低分化型腺癌で,転院時の血清PSA値は1,400ng/mlであった。前立腺癌stage D2と診断し,抗男性ホルモン療法を開始した。4週後にはPSA値も22ng/mlにまで低下し,症状も軽快し退院した。45歳以下の前立腺癌症例は比較的稀で,本邦で18例を数えるに過ぎず,高度血尿を主訴とする例は自験例が初めてである。

人工妊娠中絶術後に発症したと考えられる出血性副腎嚢腫

著者: 青木勝也 ,   高島健次 ,   平尾和也 ,   平松侃 ,   影林頼明 ,   平尾佳彦

ページ範囲:P.151 - P.153

 症例は27歳,女性。人工妊娠中絶術施行後,同日,夕方より右腰背部疝痛発作および発熱を認め,他院を受診した。精査にて右副腎嚢腫を疑われて当院を紹介された。エコーガイド下に吸引細胞診を施行し,右出血性副腎嚢腫と診断した。全身状態が良好であったため,経過観察とした。発症後1年を経過した現在,嚢腫の縮小を認めている。

94歳男性に認めた精母細胞性セミノーマ

著者: 石井祝江 ,   栗田稔 ,   三浦一陽 ,   鈴木正章 ,   藍沢茂雄

ページ範囲:P.155 - P.157

 94歳,男性。1997年2月頃より右陰嚢の無痛性腫大に気付き,4月15日に当科外来を受診した。右精巣は小鶏卵大に腫大し,超音波検査では嚢胞状腫瘤に—部充実性の部位を認めた。4月21日,右高位精巣摘除術を施行した。摘出精巣は60×33×20mm大で,70gであった。病理組織学的には精母細胞性セミノーマであった。超音波検査やCT検査にて明らかなリンパ節や他臓器への転移はなく,年齢も考慮して経過観察中である。本疾患は比較的稀であり,セミノーマの好発年齢は30歳代であるが,精母細胞性セミノーマは40歳以降に多いとされている。筆者らの調べ得た限りでは,本症例は本邦最高年齢と思われた。

偶然発見されたXX男性

著者: 杉本周路 ,   多田実 ,   新井律夫 ,   甲田直也 ,   滝本至得

ページ範囲:P.158 - P.161

 思春期前に偶然発見された6歳男児のXX男性の1例を経験したので報告する。他疾患検索中に行った染色体検査にて46,XX正常女性核型を呈したために本症が疑われ,当科を受診した。患児に外陰部奇形はなく,表現型は正常男性であった。精巣決定因子の1つであるSRY遺伝子はPCR法にて陽性であった。

顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)産生膀胱腫瘍の1例

著者: 藤沢真 ,   川上憲裕 ,   谷口成美 ,   橋本博

ページ範囲:P.164 - P.166

 78歳,女性。肉眼的血尿を主訴に受診した。膀胱右側壁に4cm大,頂部に2cm大の浸潤性腫瘍をそれぞれ認めた。入院時の末梢白血球数は45,000/mm3であった。脳梗塞の既往を有し,ねたきりの状態で痴呆症もあるため姑息的にTUR-Btのみを行った。TUR-Btの翌日の白血球数は18,900/mm3と一時的に下降したが,以後は徐々に上昇した。全身状態も悪化して,TUR-Btの2か月後に癌性悪液質のため死亡した。血清G-CSF濃度は138pg/mlと高値を示し,G-CSF特異抗体を用いた免疫染色で腫瘍に陽性所見を得たため,本邦17例目の願粒球コロニー刺激因子(G-CSF)産生膀胱腫瘍と診断した。

血液透析患者に発生した前立腺癌

著者: 相澤卓 ,   大野芳正 ,   金泰正 ,   三木誠 ,   中尾俊之 ,   小路良

ページ範囲:P.167 - P.169

 症例は53歳,男性。腎硬化症のため,透析中に尿閉となり来院した。直腸診にて前立腺癌を疑い,生検にて低分化腺癌であった。T3NOM1と診断し,抗男性ホルモン療法を開始した。現在,治療開始後6年であるが,骨シンチグラム上も集積像は軽快し,経過良好である。透析患者に悪性腫瘍が発生する率が高いと報告されているが,前立腺癌の報告は比較的少ない。本邦にて報告された経過の明らかな9例を集計し,検討を加えた。

自然破裂を来した結石合併尿管瘤

著者: 野澤英雄 ,   中居敏明 ,   原啓 ,   三浦一陽 ,   石井延久 ,   澤村良勝

ページ範囲:P.171 - P.173

 48歳,男性。排便時の怒責後からの肉眼的血尿,残尿感,排尿痛を主訴に受診した。X線検査,超音波検査にて17×14mmの膀胱結石と両側尿管瘤を認めた。膀胱鏡では膀胱結石とともに,浮腫状に肥厚し大きく破裂した右側尿管瘤とこの部よりの出血を認めた。以上から結石を合併した右側尿管瘤が自然破裂し,膀胱内へ結石が移行したものと診断した。経尿道的膀胱結石破砕術のみ施行したが,術後に膀胱尿管逆流現象は認めなかった。

膀胱上皮内癌の経過観察中にみられた膀胱平滑筋肉腫

著者: 藤井孝祐 ,   岩井謙仁 ,   吉田直正 ,   伊藤聡

ページ範囲:P.175 - P.177

 76歳,女性。尿細胞診異常を認め,膀胱ランダム生検を施行し膀胱上皮内癌と診断した。Bacillus Caimett-Guerin(BCG)療法を施行するも尿細胞診は陰性化しなかった。経過観察中,膀胱後三角部に大きさ約2cm,灰白色の隆起性病変を認めた。TUR-Btを施行したところ,病理組織は平滑筋肉腫であった。本人の同意が得られなかったために膀胱全摘除術を施行せず,10か月後に腫瘍死した。膀胱移行上皮癌と平滑筋肉腫の合併例は本邦3例目である。

下大静脈後尿管にみられた尿管腫瘍

著者: 鎌田竜彦 ,   高岩正至 ,   中野路子 ,   村木修

ページ範囲:P.179 - P.181

 症例は70歳,男性。主訴は肉眼的血尿。尿細胞診class Ⅴで,排泄性腎孟造影にて右尿管はfishhook shapeを呈した。腹部CTでは第3腰椎のレベルで尿管と下大静脈の交差像を認め,骨盤腔内では約1.5×1.5×2cmのmassを認めた。順行性腎孟造影で,Sカーブを呈した。右下大静脈後尿管に合併した右尿管腫瘍と診断し,右腎尿管全摘出術を施行した。下部尿管に有茎性の乳頭状の腫瘍を認め,組織学的には移行上皮癌grade Ⅱであった。

小さな工夫

癌性疼痛に対する濃縮塩酸モルヒネ持続皮下注入法

著者: 池田伊知郎 ,   森山正敏

ページ範囲:P.183 - P.183

 塩酸モルヒネの経口剤が普及し,強い癌性終痛に苦しむ患者は激滅した。しかし,疼痛が強くなるにしたがってモルヒネ投与量が増加し,食欲不振や嘔気などの消化器症状や眠気が増悪し,内服が不可能となり十分な除痛効果が得られない場合がある。
 今同,前立腺癌骨転移による強固な癌性疼痛に対して濃縮塩酸モルヒネを用いた持続皮下注入を行い,安定した除痛効果と食欲不振の軽減が得られ,QOLの改善を得られた症例を報告する。MSコンチン1日投与量が630mgまで漸増され,食欲不振により十分な内服が不可能となった症例である。方法は,携帯型ディスポーザブル注入ポンプシステム(商品名:エクセルフユザー,110mlまで注入可能)を利用し,25G翼状針を前胸部皮下に穿刺し,塩酸モルヒネを持続皮下注入した(図1)。塩酸モルヒネを1日240mg(10mg/ml/時)より持続皮下注入を開始したが,疼痛の増悪によりモルヒネの漸増が必要となった。原液では注入量が大冠になるため,当院薬剤部に5倍濃縮塩酸モルヒネ液の精製を依頼して適宜希釈し,注入量1ml/時で1日量240mgからの増量が可能となった。最期には1ml/時の注入で1日量600mgの塩酸モルヒネが投与された(図2)。濃縮塩酸モルヒネの持続皮下注入により十分な除痛を得られ,食欲不振も改善し,外泊も可能となり良好な終末期を過ごすことができた。

前立腺組織内レーザー凝固法における経会陰的前立腺ブロック

著者: 矢島通孝 ,   岩本晃明

ページ範囲:P.184 - P.185

 近年,前立腺肥大症に対する低侵襲治療として,経尿道的前立腺高温度治療,経尿道的レーザー前立腺切除術,永久留置型尿道ステント,経尿道的前立腺電気蒸散術などが登場してきた。また,社会的あるいは医療経済的な面から,入院期間の短縮あるいは外来での日帰り手術が奨励されるようになってきた.実際,1998年4月より,経尿道的レーザー前立腺切除術を日帰りで行った場合には保険点数1,000点が加算できることとなった。最近の低侵襲治療法を使用すれば,前立腺肥大症に対する日帰り手術は十分に可能である。しかし,病院内での他の部署との連携,特に麻酔の問題で日帰り手術を断念している施設も多いかと思う。最近筆者らは,前立腺肥大症に対する前立腺組織内レーザー凝固法を,麻酔法として経会陰的前立腺ブロックを使用して1,2),外来での日帰り手術として行っているので紹介する。
 前立腺組織内レーザー凝固法には,米国インディゴ・メディカル社により開発されたIndigo半導体レーザー手術装置(ジョンソン・エンド・ジョンソンメディカル株式会社)を使用している。これは,ディフューザーチップファイバーを膀胱鏡を用いて鏡視下に前立腺内に刺入し,組織を85℃で3分間加熱する装置である。前立腺の体積により異なるが,加熱回数は2〜6回であり,手術時間は30分以内である。

病院めぐり

東京都立大塚病院泌尿器科

著者: 山内昭正

ページ範囲:P.186 - P.186

 当院は,昭和4年6月に東京市立大塚病院として開設されました。大阪府から贈られた関東大震災の見舞金で建てられたそうです。昭和32年に総合病院となり,昭和55年に閉鎖されましたが,地域住民の要請が強く,7年後の昭和62年10月,4つの重点医療(母子医療,膠原病系難病医療,リハビリテーション医療,障害者医療)を主体とし,地域医療連携に患者基盤をおいた総合病院として開設されました。
 平成9年10月で10周年を迎えましたが,紹介率60%を維持し,医療連携も軌道にのっています。また,協力病院も24施設となり,病々連携も徐々に実をあげています。

下関市立中央病院泌尿器科

著者: 安井平造

ページ範囲:P.187 - P.187

 下関市は,本州の最西端に位置する山口県の先端にあります。下関は,三面を海に囲まれ,関門海峡に接する港町として,古くより交通の要所・分化の交流点として栄えてきました。
 先史時代には,市の北西部の海辺を中心に大陸文化の影響を受け,多くの遺跡や出土品が発掘され,弥生の土笛が特に有名です。また,歴史変動期の数々の物語の舞台ともなっています。源平壇の浦の合戦,巌流島での武蔵と小次郎の決闘,幕末の高杉晋作を始めとする維新の志士たちの足跡などです。明治から戦前にかけては,大陸への玄関港として発展しました。戦後は,新幹線や関門橋の開通によりその位置的優位性を失い,九州への通過点となりつつあります。しかし,対岸に九州を望む関門海峡,巌流島,火の山など自然の景観にも恵まれ,壇の浦・赤間神宮などの源平史跡,長府・功山寺・東行庵などの維新史跡と観光資源にも恵まれています。平成8年に下関海峡メッセが完成し,高さ153mのタワーからの展望も見事です。

交見室

医療情報の開示について

著者: 北島清彰

ページ範囲:P.190 - P.190

 医師が医業をしていくだけでは病院の経営ができない状態,小規模病院の経営者にとっては大変な時代になってきました。先に先に目を向けて医療の改善や組織の構造改革をしていくことが常に必要で,現状を維持していくだけでは確実に経営破綻に追い込まれます。すべての職員,職種が病院運営に目を向け,医療の主役は患者さんであることを再認識し,自己の職務を全うしなければなりません。それぞれの医療機関が独自性を出して自立しなければならない時,患者さんおよび家族からそれぞれの病院が選ばれる時代になってきています。そのための取り組みの1つとして,私たちは医療情報の全面的な公開を始めました。
 情報公開の大きなきっかけとなったのは,数名の癌患者さんに対する治療でした。全例とも診断から治療経過時に,患者さんと家族に病気に対する十分な理解が得られていなかったように思います。医師として自分たちなりに十分に時間を割き,病気を告知して説明し,医療を提供していったと思っていましたが,患者さんの考えとすれ違いがあって満足のいく治療が行えず,治療中止となりました。このようなケースをできる限り少なくするために,そして21世紀を目指した独自の医療体制を創りあげるために,1999年1月よりすべての患者さんを対象としたカルテの全面的な開示を始めました。今までも薬剤,検査データなど部分的な情報の開示は行ってきました。

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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