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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科53巻2号

1999年02月発行

小さな工夫

癌性疼痛に対する濃縮塩酸モルヒネ持続皮下注入法

著者: 池田伊知郎12 森山正敏12

所属機関: 1横浜市立市民病院泌尿器科 2現 横浜市立大学医学部泌尿器科

ページ範囲:P.183 - P.183

文献概要

 塩酸モルヒネの経口剤が普及し,強い癌性終痛に苦しむ患者は激滅した。しかし,疼痛が強くなるにしたがってモルヒネ投与量が増加し,食欲不振や嘔気などの消化器症状や眠気が増悪し,内服が不可能となり十分な除痛効果が得られない場合がある。
 今同,前立腺癌骨転移による強固な癌性疼痛に対して濃縮塩酸モルヒネを用いた持続皮下注入を行い,安定した除痛効果と食欲不振の軽減が得られ,QOLの改善を得られた症例を報告する。MSコンチン1日投与量が630mgまで漸増され,食欲不振により十分な内服が不可能となった症例である。方法は,携帯型ディスポーザブル注入ポンプシステム(商品名:エクセルフユザー,110mlまで注入可能)を利用し,25G翼状針を前胸部皮下に穿刺し,塩酸モルヒネを持続皮下注入した(図1)。塩酸モルヒネを1日240mg(10mg/ml/時)より持続皮下注入を開始したが,疼痛の増悪によりモルヒネの漸増が必要となった。原液では注入量が大冠になるため,当院薬剤部に5倍濃縮塩酸モルヒネ液の精製を依頼して適宜希釈し,注入量1ml/時で1日量240mgからの増量が可能となった。最期には1ml/時の注入で1日量600mgの塩酸モルヒネが投与された(図2)。濃縮塩酸モルヒネの持続皮下注入により十分な除痛を得られ,食欲不振も改善し,外泊も可能となり良好な終末期を過ごすことができた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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