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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科53巻4号

1999年03月発行

増刊号特集 泌尿器科画像診断

Ⅲ.疾患別画像診断 4.先天異常 (3)膀胱

膀胱憩室

著者: 柴田隆1 小柳知彦1

所属機関: 1北海道大学医学部泌尿器科

ページ範囲:P.251 - P.253

文献概要

1 はじめに
 膀胱憩室は,膀胱充満時に膀胱粘膜の一部が膀胱平滑筋筋層の欠損部あるいは脆弱部から外方へ突出する病態である。通常,成人にみられる膀胱憩室は,前立腺肥大症などの下部尿路閉塞疾患に伴う高圧排尿に由来すると考えられるもので,当然ながら高齢者に多くみられる。小児にみられる憩室は,先天性膀胱憩室として報告されている比較的稀で大きな憩室と,いわゆるHutchの憩室と呼ばれる傍尿管口憩室に分けられる。先天性膀胱憩室は神経因性膀胱や器質的通過障害などを持たない正常排尿例に認められる憩室と定義されるが,その報告の多くは発生部位が尿管口近傍であり,傍尿管口憩室と完全に区別できるものではないと考えられている。傍尿管口憩室は,膀胱尿管逆流症を伴うことも多く(図1),臨床経過上,自然消失が得られにくいため手術治療の適応となることも多い。
 成人,小児のいずれの病態も,憩室が大きければ排尿効率の低下(残尿および二段排尿)や尿路感染の原因となり得る。特に小児では,憩室の位置と大きさによっては,充満した膀胱憩室が膀胱頸部を圧迫して,排尿困難や尿閉をきたす症例も報告されているので注意が必要である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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