文献詳細
増刊号特集 泌尿器科画像診断
Ⅲ.疾患別画像診断 4.先天異常 (4)尿道
文献概要
1 はじめに
1.男児における先天性尿道憩室 男児前部尿道に発生する先天性異常であり,腹側の尿道海綿体が部分的に欠損し,そこから袋状のsacculeを形成して,排尿時に拡張saccule自体またはその振り子状運動による近接尿道の圧迫によって排尿困難を招来する疾患である。球部尿道から振子部尿道の腹側に発生する。後部尿道弁などと比較して,実際の臨床例遭遇頻度は低く,筆者が25年間に経験した下部尿路器質的閉塞疾患268例中7例にすぎない。筆者の経験によると,前部尿道弁を含めた尿道弁疾患に比較すると,その頻度は1/10強であり,またその閉塞機転は一般に軽微であり,上部尿路への影響はVURを含めて弁疾患より明らかに低い1)。
Williamsは本症を4種類に分類しているが,慣習的にはsaccular typeとglobular typeの2型に分類する2)(図1)。前者では前部尿道弁の二次的病態と理解する立場もあるが,前部尿道弁様の構造は本来の憩室が排尿による拡張によって,その即遠位側尿道の下に入り込むため,その腹側に二次的に形成されたものとの考え方もある。
1.男児における先天性尿道憩室 男児前部尿道に発生する先天性異常であり,腹側の尿道海綿体が部分的に欠損し,そこから袋状のsacculeを形成して,排尿時に拡張saccule自体またはその振り子状運動による近接尿道の圧迫によって排尿困難を招来する疾患である。球部尿道から振子部尿道の腹側に発生する。後部尿道弁などと比較して,実際の臨床例遭遇頻度は低く,筆者が25年間に経験した下部尿路器質的閉塞疾患268例中7例にすぎない。筆者の経験によると,前部尿道弁を含めた尿道弁疾患に比較すると,その頻度は1/10強であり,またその閉塞機転は一般に軽微であり,上部尿路への影響はVURを含めて弁疾患より明らかに低い1)。
Williamsは本症を4種類に分類しているが,慣習的にはsaccular typeとglobular typeの2型に分類する2)(図1)。前者では前部尿道弁の二次的病態と理解する立場もあるが,前部尿道弁様の構造は本来の憩室が排尿による拡張によって,その即遠位側尿道の下に入り込むため,その腹側に二次的に形成されたものとの考え方もある。
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