文献詳細
増刊号特集 泌尿器科画像診断
Ⅳ.Interventional Radiology
動脈内注入療法—膀胱癌に対する一時的血流遮断下抗癌剤動注療法(BOAI)
著者: 佐藤守男1 光實淳1 河合信行1 谷畑博彦1 武内泰造1 増田光則1 山田勝之1 中井資貴1 南口博紀1 大川順正1
所属機関: 1和歌山県立医科大学放射線科
ページ範囲:P.373 - P.378
文献概要
膀胱癌に対するカテーテル治療としては,動脈塞栓術,化学塞栓療法,抗癌剤動注療法などが挙げられる。膀胱癌に動脈塞栓術が用いられるのは腫瘍からの出血のコントロールのためであり1,2),抗腫瘍効果を目的とすることは稀である。塞栓物質としてはゼラチンスポンジ細片が用いられることが多く,これによる阻血が動脈血流を極めて低下させるが,完全に阻血に至らず虚血壊死に陥らないためである。塞栓物質としてlipiodol,micro—capsule3〜5)などを用いた極端な阻血は,腫瘍のみならず膀胱組織にも障害を与えることになる6)。
膀胱癌は化学療法がかなり有効である。筆者らは,バルーンカテーテルを用いた一時的血流遮断下抗癌剤動注療法(balloon occluded arterial infu—sion:以下,BOAI)を膀胱癌症例に対して行い7),良好な治療効果を得てきた8〜11)。本法の概略は,Swan-Ganz typeのdouble lumen balloon catheter(図1,2)を両側内腸骨動脈に挿入し,先端のballoonを膨張させることにより一時的に血流を遮断したうえで,このcatheterを通じてその末梢側に抗癌剤を注入するものである。本法では,薬剤は血流に希釈されることが少なく高濃度のまま腫瘍部に到達し,しかも長時間滞留し作用する。また,血流改変効果も得ることができる。
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