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増刊号特集 泌尿器科外来診療—私はこうしている Ⅹ.メディカルエッセイ
バイアグラ余(夜)話
著者: 福井準之助1
所属機関: 1聖路加国際病院泌尿器科
ページ範囲:P.98 - P.98
文献購入ページに移動医師がバイアグラを処方するとき,薬物の副作用のみに眼が向きがちであり,バイアグラ服用による周辺への影響に対する指導が疎かになりやすい。筆者の経験した事例を挙げながら,話を進めたい。60歳後半のA氏は前立腺癌のため根治的前立腺摘除術を受けた後,術前に告知されたように勃起が消失した。しかし,術後1年半を経過したある日,「先生,時々早朝時に陰茎が硬くなっていることに気づくようになりました。でも,性交渉ができるほど固くはならないのですが……」と勃起機能の経時的な回復に大きな期待を込めていたが,それ以上の改善は得られなかった。そして,術後24か月経過したときに,バイアグラが発売された。本人の強い服用希望と,循環器検査を含めた諸検査で異常がなかったので処方したところ,2週間後に来院し,「バイアグラを服用後にかなり固く勃起したので,妻と性交渉を持つことができました。挿入に手間取り,妻も痛がったのですが,数年ぶりの性交渉で満足できました。
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