文献詳細
綜説
文献概要
和歌山市における化学染料工場に発生する尿路上皮癌に関する教室の研究を中心に,職業性尿路上皮癌の特性を検証した。染料工場における化学発癌物質曝露から尿路発癌までの潜伏期間は25年であった。職業性尿路上皮癌の発癌年齢は,自然発生癌と比べ約10歳若い。芳香族アミン曝露者のような尿路上皮癌のリスク集団に対しては,尿細胞診による検診が有効であった。職業性膀胱癌の治療後の上部尿路再発頻度は高く,それは時間の経過とともに増加した。職業性尿路上皮癌には大腸癌の重複癌が多い。労働環境因子は尿路上皮癌の発生に強くかかわっていた。さらに,その発癌しやすさは遺伝因子の差による可能性が示唆された。
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