icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科54巻5号

2000年04月発行

文献概要

手術手技 基本手技・16

コメント

著者: 伊藤晴夫1 小川由英2

所属機関: 1千葉大学医学部泌尿器科 2琉球大学医学部泌尿器科

ページ範囲:P.290 - P.293

文献購入ページに移動
 小林弘明先生の順行性恥骨後式前立腺全摘出術(神経温存を含む)を読ませていただいた。伝統のある病院で多数例の手術を行った経験より素晴らしい手術手技が書かれていると思われる。ただ,筆者らと異なった考え方や細かい問題点にも気付いたので,少し述べたい。
 T3またはT4でも,あるいはリンパ節転移があっても前立腺全摘出術は行っているとのことである。筆者も10年以上前の数年間,帝京大学医学部附属市原病院に在職していたときには,ほぼこれと同じ方針で適応を決めていた1,2)。病期に関しては少し進行性であっても,のちの局所の管理がしやすいという考え方を筆者らも採っていた。しかし,予後調査を行ってみると,これらの症例ではホルモン療法のみのものより予後が改善したということはなかった。したがって,そのあとには,特に千葉大学に移ってからは,リンパ節転移のあるもの(N1は除く)については手術を行わないようにした。Gleason score,PSAの組み合わせによるリンパ節転移の予測を行い,これが10%未満なら術中迅速病理診断は行わない。これが10%以上のときは術中病理診断を行い,リンパ節転移がある場合には全摘除術を中止している3)。N1は既に全身病であるとして手術は行わないのが米国での主な考え方と思われるが,N1は筆者らの今までの統計ではNOとあまり異ならない予後であったので手術を施行している。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら