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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科54巻9号

2000年08月発行

小さな工夫

ミニラパロトミー恥骨後式前立腺全摘除術のための試作リトラクター

著者: 三股浩光1 野村芳雄1

所属機関: 1大分医科大学泌尿器科

ページ範囲:P.731 - P.732

文献概要

 恥骨後式前立腺全摘除術におけるdorsal vein complex(DVC)の処理は,前立腺・膀胱を圧排して前立腺尖部〜膜様部尿道に緊張を加える点が重要である。われわれは第1助手が初心者であっても容易に前立腺尖部〜膜様部尿道を展開し,良好な視野を得ることができ,しかも10cm以下の皮膚切開でも使用できるリトラクターを考案した(図1)。
 体位は骨盤高位の開脚仰臥位とし,恥骨直上より10cmの下腹部正中切開にてRetzius腔を展開し,まず両側閉鎖リンパ節郭清を行う。ついで内骨盤筋膜を切開し,恥骨前立腺靭帯を切断後に,肛門挙筋をlateralpelvic fasciaより剥離する。リトラクターの先端をDVCを挟むようにかけ(図2A,B),第1助手が軽くリトラクターの手前部分を押さえると,膀胱や腹膜に包まれた腸管を頭側に圧排できる。術者と第1助手は前立腺・膀胱の圧排のため左手を操作腔深く挿入する必要がなく,しかも前立腺のlateral pelvic fasciaと肛門挙筋の間にスペースをつくれるため,ミニラパロトミーでも前立腺尖部の良好な視野を得ることができる。DVC処理は直針状の1-0 catgutを尿道前壁と一緒にθ状運針で結紮する(Tech Urol5:104-105,1999)。DVCと尿道を切断してからリトラクターをはずし,以後は通常の開創鉤を使用する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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