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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科55巻12号

2001年11月発行

原著

前立腺癌の治療開始直前におけるPSA倍加時間

著者: 中田誠司1 高橋溥朋1 竹澤豊2 小林幹男2 松本和久3 古作望3 川島清隆4

所属機関: 1足利赤十字病院泌尿器科 2伊勢崎市民病院泌尿器科 3古作クリニック 4国立がんセンター東病院泌尿器科

ページ範囲:P.1127 - P.1131

文献概要

 前立腺癌の治療開始直前のPSA倍加時間(PSA-DT)を算出可能であった31例を経験し,他のパラメーターとの関係について検討した。治療前のPSAは指数関数的に上昇すると考えられた。PSAが上昇24例(77.4%),横ばい6例(19.4%),最初は横ばいで途中から急上昇1例(3.2%)であった。上昇24例でのPSA-DTは3.4〜65.8か月まで分布し,平均24.3±18.5(S.D.)か月,中央値20.8か月であった。PSA-DTと診断時年齢の間には差はなかった。PSA-DTが24か月以下の群で,病期D,低分化腺癌の占める占める割合が高かったが,有意差はなかった。また,PSA-DTが24か月以下の群で観察開始時のPSAが10ng/ml未満の占める割合が高く,逆に治療直前のPSAが15ng/ml未満の占める割合が低かったが,ともに有意差はなかった。前立腺癌死したのは3例で,そのPSA-DTはそれぞれ3.4か月,5.1か月,途中から急上昇であった。PSA-DTはかなり広範に分布し,これが癌の悪性度,予後を反映している可能性がある。PSA-DTが治療方針を立てる上で,一つの判断材料になり得ると思われた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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