臨床泌尿器科55巻3号

2001年03月発行

症例

卵巣静脈腫瘍塞栓を伴う腎細胞癌

著者： 鈴木康太¹³ 益山恒夫¹ 渡辺賀寿雄¹ 檜垣昌夫¹ 吉田英機²

所属機関： ¹国立病院東京災害医療センター泌尿器科 ²昭和大学医学部泌尿器科 ³現　昭和大学医学部泌尿器科

ページ範囲：P.269 - P.271

　患者は，77歳女性。他院で貧血の精査中，左腎腫瘍を指摘され，精査および加療目的にて当科に入院となった。CT,MRIにて左腎腫瘍を認めたため，根治的左腎摘除術を施行した。肉眼的に左卵巣にまで至る卵巣静脈の腫瘍塞栓を認めたため，左卵巣合併切除を施行した。病理所見は，腎静脈，左卵巣静脈に腫瘍塞栓を伴う腎細胞癌であった。下大静脈に腫瘍塞栓を形成した腎細胞癌の報告例はあるが，卵巣静脈に腫瘍塞栓を形成した例はなく，われわれが調べ得た限りでは本邦第1例目と考えられた。