文献詳細
増刊号特集 泌尿器科手術における合併症管理のすべて
Ⅱ.術式別にみた術中・術後合併症の管理 D.開腹的手術 4.尿管の手術
文献概要
1 はじめに
尿管結石に対する開放手術が極端に減少した現在,尿管尿管吻合術を行う機会も著しく減少したといえる。尿管尿管吻合術が適応となる基礎疾患としては,上もしくは中部尿管腫瘍(単発で高分化なもの,単腎に発生したもの,あるいは両側に発生したもの),下大静脈後尿管,尿管狭窄などがある。そのほか尿管損傷があるが,外傷性のものより医原性のものが多い(表1)。なかでも婦人科領域の手術が最も多いとされており,少し占い統計であるが,婦人科手術全体の0.2〜2.5%,悪性疾患における拡大手術に限ると10〜30%の頻度と報告されている1)。
手術方法であるが,尿管へのアプローチにはいくつかの方法があり,上部尿管では主として腰部斜切開が,中部尿管では傍腹直筋切開やGibson切開,下部尿管では下腹正中切開がそれぞれ用いられることが多い(図1)。尿管尿管吻合の方法であるが,まず吻合すべき健全な尿管断端を露出し,ねじれのないよう向きを確認する。尿管を切断する場合は,その前に切断部位の上下に吊り糸を掛け,吻合の際にねじれをきたさないための目印とする。そして,それぞれの断端に180度離して5〜6mmの縦切開を加え,4-0または5-0のアトラウマ針付きの吸収糸を用い,約2mm間隔でwatertightに結節縫合する(図2)。拡張した尿管を吻合する場合は断端を斜めに切り落とすのみとし,縦切開を加える必要はない。吻合が終了する前に尿管ステントを留置し,閉創前に適切な位置にドレーンを置く。
尿管結石に対する開放手術が極端に減少した現在,尿管尿管吻合術を行う機会も著しく減少したといえる。尿管尿管吻合術が適応となる基礎疾患としては,上もしくは中部尿管腫瘍(単発で高分化なもの,単腎に発生したもの,あるいは両側に発生したもの),下大静脈後尿管,尿管狭窄などがある。そのほか尿管損傷があるが,外傷性のものより医原性のものが多い(表1)。なかでも婦人科領域の手術が最も多いとされており,少し占い統計であるが,婦人科手術全体の0.2〜2.5%,悪性疾患における拡大手術に限ると10〜30%の頻度と報告されている1)。
手術方法であるが,尿管へのアプローチにはいくつかの方法があり,上部尿管では主として腰部斜切開が,中部尿管では傍腹直筋切開やGibson切開,下部尿管では下腹正中切開がそれぞれ用いられることが多い(図1)。尿管尿管吻合の方法であるが,まず吻合すべき健全な尿管断端を露出し,ねじれのないよう向きを確認する。尿管を切断する場合は,その前に切断部位の上下に吊り糸を掛け,吻合の際にねじれをきたさないための目印とする。そして,それぞれの断端に180度離して5〜6mmの縦切開を加え,4-0または5-0のアトラウマ針付きの吸収糸を用い,約2mm間隔でwatertightに結節縫合する(図2)。拡張した尿管を吻合する場合は断端を斜めに切り落とすのみとし,縦切開を加える必要はない。吻合が終了する前に尿管ステントを留置し,閉創前に適切な位置にドレーンを置く。
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