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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科56巻1号

2002年01月発行

症例

傍腎盂腎嚢胞が原因と考えられた急性腎不全

著者: 二宮彰治12 飯沼誠一1

所属機関: 1芳賀赤十字病院泌尿器科 2現 慶應義塾大学医学部泌尿器科

ページ範囲:P.59 - P.62

文献概要

 症例は75歳男性,長期尿道バルーンカテーテル留置中の患者。尿路感染症に対して,点滴抗生剤を開始したところ,治療開始後6日目,解熱傾向を認めるも突然尿量の低下および血中クレアチニンの上昇を認めた。薬剤性腎機能障害と考え抗生剤を中止したが,乏尿状態は持続し血中クレアチニンはさらに上昇した。超音波検査を施行したところ,右腎は萎縮しており,左腎は高度の水腎症および腎盂近傍に径約5cmの腎嚢胞を認めた。機能的片腎における腎後性腎不全を考え,左経皮的腎瘻を造設した。その後利尿は得られ,腎機能は正常化した。尿管圧排の原因精査のため腹部CTスキャンを施行したところ,左腎盂近傍に腎嚢胞を認めるものの,他に尿管圧排あるいは閉塞をきたす異常所見は認めなかった。嚢胞を穿刺ドレナージし95%エタノールで嚢胞壁を固定後,順行性腎盂尿管造影にて,尿管の圧排の消失を確認,以後嚢胞あるいは水腎症の再発は認めていない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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