文献詳細
綜説
文献概要
膀胱全摘を受けた患者での尿路変向・膀胱再建術は泌尿器科手術学上の大きなテーマの一つに数えられている。歴史的にも,多くの臨床研究者が個々の時代において様々な工夫を行うことによって,術式は進化し続けている。特に周術期管理の進歩,尿管—腸管吻合法の進歩,利用腸管の脱管腔化によるコンプライアンスの良いパウチ(新膀胱)作成技術の進歩が有機的に働き,現行の尿路変向・膀胱再建法へとつながってきている。さらに,20世紀終盤からにわかに注目を集めだした再生医学の応用は,膀胱そのものをin vitroで再生するという,臓器再生の夢を具現化するものとして,この分野に関わる泌尿器科医の衆目を集めている。本綜説では先人の苦労の歴史と,現状の抱える問題点を整理し,夢の実現と大きな変革への指針を示す。
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