文献詳細
綜説
文献概要
糖鎖は発生,分化過程における認識機構に関与し,癌化により変化する。泌尿器系癌の糖鎖変化を悪性度との関連において調べたところ,各種癌にそれぞれ特徴的な糖鎖,糖転移酵素の変化が観察され,ある糖鎖変化は癌の浸潤および転移,担癌患者の予後に関連していた。糖鎖の具体的な働きや糖鎖の担体となる糖蛋白はまだ十分解明されておらず,癌化における糖転移酵素の変化に関する研究も端緒についたばかりである。糖鎖は臨床癌の特徴をよく反映していることから,癌化における糖鎖の役割ならびに糖鎖発現機構がさらに明らかにされれば,より一層分子レベルで癌の悪性度への理解が深まるとともに新しい治療法への道が開かれるものと思われる。
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