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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科57巻1号

2003年01月発行

文献概要

画像診断

前立腺囊胞が原因と考えられた血精液症

著者: 田中達朗1 橘宏典1 鈴木孝治2

所属機関: 1やわたメディカルセンター泌尿器科 2金沢医科大学泌尿器科

ページ範囲:P.83 - P.85

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患者 47歳,男性。

 主訴 血精液。

 家族歴・既往歴 特記すべきことなし。

 現病歴 2001年4月22日より血精液を認め4月25日受診した。排尿時痛,排尿困難などの症状はなく,肉眼的血尿も認めなかった。

 現症 174cm,88.8kg。直腸診では,前立腺はくるみ大で,弾性軟,硬結,圧痛は認めなかった。

 初診時検査成績 PSA:7.42ng/ml,F/T比:0.02で,他の血液生化学検査は正常範囲であった。

 画像所見 経直腸的前立腺超音波検査にて正中よりやや左に直径1cmの囊胞様陰影を認めた(図1)。MRIでは前立腺直腸側にT1強調像で内部均一な低信号,T2強調像で高信号を呈する腫瘤陰影を認めた。精囊には出血を疑わせる変化は認めなかった(図2)。入院後の尿道鏡では精丘の腫大を認め,精管精囊造影では射精管が内側より外側に圧排されていた。同時に行った経会陰的超音波下囊胞穿刺,造影にて精管精路系とは交通のない囊胞と診断した(図3,4,5)。

 臨床経過 初診時のPSAの高値から,前立腺生検を行ったが,悪性所見は認めなかった。5月31日に行った囊胞穿刺にて得られた液は1.5ml,無色透明であった。穿刺液の細胞診はclassⅠで,PSA濃度は360ng/mlであった。囊胞液を吸引後ミノサイクリン100mgを注入した。6月11日まで血精液を認めていたが,それ以後改善した。治療後の超音波検査では囊胞を認めなかった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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