文献詳細
綜説
文献概要
免疫抑制剤を含む移植周辺医療の進歩により腎移植成績は向上した。しかしながら,未解決な問題も多く,慢性移植腎症はその第一に挙げられる。慢性移植腎症の原因は多岐に及ぶが,多くの場合複数の因子が同時に存在する。そしてある程度進行すると原因の如何にかかわらず共通した腎障害像を呈し不可逆的となり,やがて機能廃絶へと至る。決め手となる有効な治療法を持たない現状では個々の原因に配慮して予防的な対策を講じ慢性移植腎症の発症を未然に防ぐことが唯一の治療である。本稿ではその一助となるべく,虚血・再灌流腎障害,高齢ドナー,ポリオーマウイルス腎症,カルシニュリン慢性腎毒性に関する最近の治験と私たちの実験成績を述べる。
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