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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科57巻2号

2003年02月発行

画像診断

感染性尿膜管囊腫のMRI画像

著者: 藤田和利1 辻川浩三1 菅尾英木1

所属機関: 1箕面市立病院泌尿器科

ページ範囲:P.174 - P.175

文献概要

 患者 11歳,男児。

 主訴 臍部の膨隆,疼痛。

 家族歴 特記すべきことなし。

 既往歴 5歳より気管支喘息。

 現病歴 約1年前より腹痛および臍よりの滲出液流出を繰り返し,近医を受診していた。2001年3月9日より40℃の発熱と腹痛を認め,近医で抗生物質を投与されるが軽快せず,次第に臍周囲の発赤と膨隆を認めてきたため,2001年3月22日当院救急外来を受診した。

 現症 身長140cm,体重37kg。体温37.9℃。臍の発赤,臍よりの膿の流出を認め,臍周囲の圧痛を認めた。筋性防御は認ない。検尿異常なし。

 検査成績 白血球12,900/mm3,CRP 1.78mg/dlと炎症所見を認めた。膿の培養でStaphylococcus epidermidis(MRSE)2+,Enterococcus faecalis 3+を認めた。

 画像所見 超音波検査では臍下部に腫瘤を認め,内部は不均一な低エコー像であった。入院時の腹部単純CTでは臍下部に辺縁不明瞭な腫瘤を認めた。DIPで膀胱および上部尿路に異常を認めなかった。抗生剤点滴治療を開始し,炎症所見消失後にMRIを撮影した。臍下部の腫瘤はT1強調画像で筋肉と同程度の信号を呈し,T2強調画像では低信号を呈する充実性の腫瘤として描出された。矢状断では臍下部の腫瘤から膀胱頂部へと続く索状物を認め,T1強調画像およびT2強調画像ともに膀胱筋層と同じ低信号を呈していた(図1)。

 以上の所見より感染性尿膜管囊腫と診断し,2001年4月6日下腹部横切開にて尿膜管切除および膀胱部分切除を施行した。臍下部の腫瘤から膀胱頂部まで続く尿膜管を認め(図2),MRI所見と一致していた。臍下部の腫瘤は炎症性に周囲と癒着していたが,その他は癒着なく,臍の一部および膀胱頂部を含めて尿膜管を切除した。切除標本では腫瘤は充実性の炎症性変化を示し,索状物は膀胱頂部付近では管腔構造を認めたが,その頭側で閉塞していた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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