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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科57巻4号

2003年04月発行

特集 前立腺疾患のすべて

Ⅱ 前立腺肥大症 治療法の選択と実際 経尿道的治療

経尿道的治療をめぐるcontroversy

著者: 秋野裕信1 横山修1

所属機関: 1福井医科大学泌尿器科

ページ範囲:P.109 - P.113

文献概要

 1 はじめに

 高齢社会を迎え,下部尿路症状(lower urinary tract symptoms:LUTS)を訴えて医療機関を受診する中高年男性の数は増加している。しかし,LUTSの原因がいわゆる前立腺肥大症である場合,経尿道的治療をどのような症例に提供するのが妥当なのかの明確な基準はない。その背景の一つには塩酸タムスロシン,ナフトピジルなどのα受容体遮断剤(αブロッカー)の臨床使用により,薬物療法のみでLUTSによるQOL障害の改善をみる症例が多くなったことが挙げられる。多くの泌尿器科医は,まずαブロッカーを投与して症状の経過をみていることと思うが,本来手術を施行したほうが好ましい患者に対していたずらに薬物療法を行い,かえって患者のQOLを障害し,医療費の無駄となっていることも少なくない。では,どのような患者が手術療法の適応であるのか,すなわち前立腺肥大症の治療における経尿道的治療の位置づけは何なのか,gold standardである経尿道的前立腺切除術(transurethral resection of the prostate:TURP)を取り上げて考えてみたい。

 そして,前立腺肥大症の手術治療においてTURPがgold standardであることに異議を唱える泌尿器科医は少ないと思うが,QOL疾患である本疾患にTURPは侵襲的で,より低侵襲の手術療法が望ましいと考える泌尿器科医が多いことも事実である。その結果,より低侵襲の種々の手術が考案され,それらを臨床の場で試してきたのがこの十数年の泌尿器科医のチャレンジであったと思う。現在施行されている低侵襲性の経尿道的手術に関してもその意義について言及したい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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