文献詳細
文献概要
特集 前立腺疾患のすべて Ⅱ 前立腺肥大症 治療法の選択と実際 経尿道的治療
経尿道的前立腺切除術:TURP
著者: 藤田公生1
所属機関: 1浜松医科大学泌尿器科
ページ範囲:P.124 - P.128
文献購入ページに移動経尿道的前立腺切除術(TURP)は前立腺肥大症治療のゴールド・スタンダードといわれ,その治療効果の確かなことは広く認められているが,手術に伴う危険性がある。高齢者に麻酔をかけなければならないので,まず,そのための危険が生じる。筆者らの集計では術後1か月以内の死亡は0.17%(2,405例中4例)であり,その原因は心筋梗塞などの心不全,脳梗塞であった。J Urolの20世紀の代表的な論文集のトップを飾ったMebustらの3,885例の検討でも死亡率は0.2%と,ほぼ同様である1)。
TURPそのものによる死亡は,TURPの手技も機器も進歩したためにほとんどなくなっている。TURPの所要時間,出血量,TURP反応の危険性などはすべて,前立腺の大きさに依存している。つまり前立腺が大きくなると,TURPの手術侵襲は大きくなる2)。逆に,小さな前立腺に対するTURP,あるいは経尿道的膀胱頸部切開(TUI)は,低侵襲性といわれながら実際には麻酔をかける必要のある種々の治療法と比べると,むしろ治療時間の短い,侵襲性の低い治療法ということができる。
掲載誌情報