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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科57巻4号

2003年04月発行

文献概要

特集 前立腺疾患のすべて Ⅲ 前立腺癌

転移機構

著者: 市川智彦1

所属機関: 1千葉大学大学院医学研究院遺伝子機能病態学(泌尿器科)

ページ範囲:P.162 - P.166

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 1 はじめに

 癌が転移に至る過程にはいくつかの段階がある。これは,①癌細胞が腫瘍から遊離する,②遊離した癌細胞が周囲に浸潤し血管内に侵入する,③癌細胞が血液の中で生存し免疫系から忌避する,④血管内皮に付着する,⑤血管外に脱出する,⑥標的臓器内で微小環境を構築する,⑦血管新生を誘導し腫瘍を形成する,などが挙げられる(表1)。これらのどの段階かに関与すれば,転移に関する遺伝子ということになる。この中には,癌遺伝子の発現や,転移抑制遺伝子の不活性化などがあり,これらを含む遺伝子異常の蓄積によって転移能獲得に至ると考えられる。また,それらの遺伝子の機能を特異的に不活性化あるいは正常化することができれば,分子標的治療となり得る。転移機構を解明するということはすなわち,進行癌あるいは末期癌に対してその治療を開発することにつながり,前立腺癌においても多くの研究成果が報告されている1,2)。前立腺癌は骨に転移しやすいという性質をもっており,この機序についてもさまざまな報告がある。本稿では,前立腺癌において報告されてきた転移に関する遺伝子変化を中心にその機構について概説したい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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