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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科57巻4号

2003年04月発行

特集 前立腺疾患のすべて

Ⅳ 前立腺炎

前立腺炎の定義と分類

著者: 松本哲朗1

所属機関: 1産業医科大学泌尿器科

ページ範囲:P.273 - P.276

文献概要

 1 前立腺炎の定義

 前立腺炎は泌尿器科の外来で最も多くみられる疾患の一つであるが,その病態には不明な点が多く,診断・治療において混乱がみられている。前立腺炎には種々の病態が混在しており,前立腺炎症候群として広い意味に捉えられている。男性の前立腺関連領域に,疼痛をはじめ種々の症状を来す良性の疾患と定義され,多くの周辺疾患を含んだものである。原因として,細菌をはじめとする病原微生物の関与や前立腺液の前立腺組織内への溢流,高圧排尿による尿の前立腺組織内への流入,自己免疫,さらには,骨盤内の血流うっ滞,骨盤内の筋肉痛・神経痛などの関与も考えられている。このように,必ずしも前立腺に基因する疼痛ではないこともあり,前立腺炎との鑑別は容易ではないが,将来にわたって前立腺の炎症とそれ以外の疾患を区別する努力を行わなければならない。前立腺炎の古典的な分類として,1978年以来,Drachら1)の分類が用いられてきた。すなわち,急性細菌性前立腺炎,慢性細菌性前立腺炎,非細菌性前立腺炎,前立腺痛(プロスタトディニア)とする分類である(表1)。これらの分類はEPS(前立腺圧出液),VB3(前立腺マッサージ後尿)などを得るMeares & Stameyの4検体分割採取法(4杯分尿法)に基づいて診断されてきたものである2)(図1)。しかし,4杯分尿法は煩雑であり,通常の臨床で行うには無理があり,必ずしもDrachの分類に基づいた正確な診断は行われていない。最近,米国NIHを中心に,新しい分類が提唱され,広く用いられつつある3,4)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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