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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科57巻4号

2003年04月発行

特集 前立腺疾患のすべて

Ⅳ 前立腺炎

前立腺痛の診断と治療法

著者: 石川清仁1 名出頼男1

所属機関: 1藤田保健衛生大学医学部泌尿器科

ページ範囲:P.290 - P.295

文献概要

 1 はじめに

 Prostatodynia(日本語訳では前立腺痛,もしくは前立腺症)は,1978年Drackによる前立腺炎様症候群の分類で非細菌性・非炎症性と定義された疼痛と骨盤周囲の不定愁訴を中心とする病態である。最近の米国NIHのガイドラインでは,Ⅲ Chronic prostatitis(Chronic pelvic pain syndrome)b)Noninflammatoryの範疇に入り,痛みを最も重要な症状と位置づけている。NIHの今回の新分類が,要因論を考える方向性を出した点は評価に値し,今後の基礎的研究の進展を待って現在の経験に基づいて行われている治療方針に理論的根拠が与えられると信じたいが,今もって呼び方すら統一化できないのは,その病態に不明な点が多く,診断・治療に混乱が生じているからである。

 また,この範疇に属する患者の頻度は慢性非細菌性前立腺炎を呈する症例の半数程度を占め,境界領域にある患者も多く,移行型や合併型の存在も含めれば全体の50%近くに達すると思われる。さらに,この患者群が若年層にまで広く分布しているのも特徴で,患者はもとより外来担当医も日常診療での対応に苦慮しているのが現状である。

 この項ではpelvic pain syndrome(以下,前立腺痛と訳す)を病態別に分類し,それぞれの病因論を展開し,それに対応する形で治療方針を検討する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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