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特集 泌尿器悪性腫瘍の治療指針―私たちはこうしている
文献概要
膀胱癌における治療指針として,一般的な教科書で記載されていることは省略し,日常臨床上,問題となっている点について述べる。表在性膀胱癌においては,常に浸潤癌に進展することを念頭に置き,治療が遅れないように留意すること。また膀胱内注入療法や動脈内注入療法に反応しない症例には早期に膀胱全摘除術を考慮することなどが重要である。また浸潤性膀胱癌に対しては,すべての症例に膀胱全摘除術が適応とはならず,動脈内注入療法に放射線療法を併用し,膀胱温存を図ることも可能であり,患者の全身状態を考慮した治療法の選択が望まれる。さらに進行性膀胱癌に対しては,たとえ手術や放射線療法,全身化学療法などが既に行われていても,腫瘍休眠療法という新しい選択肢があることなどを述べる。これからの治療指針は,一人一人の患者の病態に応じた治療法を選択すべきであり,これはすなわち,われわれ臨床医の力量が試されるものである。
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