臨床泌尿器科58巻11号

2004年10月発行

トピックス 再生医療

腎臓の再生医学―人工腎臓，移植から新しい細胞治療まで

著者： 中根明宏¹² 西中村隆一²³

所属機関： ¹名古屋市立大学大学院医学研究科腎・泌尿器科学 ²東京大学医科学研究所幹細胞シグナル分子制御分野 ³熊本大学発生医学研究センター細胞識別分野

ページ範囲：P.869 - P.876

文献概要

　要旨：慢性腎不全の治療には人工透析や腎移植術がほぼ確立されている。そのためか腎臓において，新しい再生医療への取り組みは基礎研究でも臨床でも，他の臓器に比べて遅れた感を受ける。また，腎臓は多くの機能と複雑な構造を持つために，腎臓再生の研究を難しくしていることも考えられる。本稿では，発生学的特徴と生理機能を理解したうえで，細胞工学的な技術によるバイオ人工腎臓，クローン技術の進歩による異種移植，幹細胞研究を応用した新しい細胞治療の可能性など多角的な分野の進展状況などからみた，腎臓の再生医療について概説する。