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綜説
進行尿路上皮癌に対する化学療法:最近の話題
著者: 羽渕友則1 大山力1
所属機関: 1秋田大学医学部泌尿器科
ページ範囲:P.189 - P.196
文献購入ページに移動1980年代半ばにMVAC療法の有効性が報告されて,しばらくの間,転移や隣接臓器浸潤を伴う尿路上皮癌患者への根治への期待がもたれたかと思う。しかし実際には思うような生存率の上昇に結びつかず,逆に化学療法の害が強調され,その後尿路上皮癌に対する全身化学療法はしばらく停滞していた感がある。しかし最近新規抗癌剤やその併用療法の選択肢が増えたことや,さらに全身化学療法による予後改善に関するデータが報告され,尿路上皮癌に対する全身化学療法は新たな局面を迎えているといってよい。転移や隣接臓器浸潤を伴う尿路上皮癌に対して根治は無理としても,少なくとも副作用が少なくQOLをできる限り維持しながら予後改善が目指せるか,浸潤性膀胱癌に対する周術期の多剤併用化学療法により予後改善が得られるかなど,期待される点は多い。本稿では新規抗癌剤を中心とした尿路上皮癌に対する新たな全身化学療法を紹介する。
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