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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科58巻3号

2004年03月発行

文献概要

画像診断

自然破裂した傍腎盂囊胞

著者: 川上雅子1 井上博夫1 小泉孔二1

所属機関: 1信州大学医学部泌尿器科

ページ範囲:P.258 - P.259

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 患者 79歳,女性。

 家族歴 特記事項なし。

 既住歴 2002年11月に小脳出血を発症し,抗凝固剤を内服中。

 現病歴 1999年4月当院内科より尿潜血および腰背部痛にて紹介され,IVPおよび腹部CT(図1)を施行した。診断は両側傍腎盂囊胞であったため年1回の腹部超音波検査にて経過観察していた。2003年1月15日突然腹部正中から左背部の激痛が生じた。その際,転倒や外傷などの誘因と思われる事項はなかった。救急車にて当院救急外来を受診し入院した。

 入院時現症 上腹部正中から左にかけての圧痛を認めた。悪心,嘔吐,発熱症状は認めなかった。その他,身体の異常所見はなし。

 入院時検査所見 血液性化学検査および尿検査に異常を認めなかった。

 入院後の経過 救急外来にて急性腹症の原因精査のため,腹部CT(図2)を施行した。左後腹膜腔に腎を取り巻くように水分密度領域を認めた。腎外への造影剤の漏出は認められなかった。以上より,急性腹症の原因は左傍腎盂囊胞の自然破裂と診断した。腹痛は徐々に軽減し、翌日にはほとんど痛みを認めなかったため,入院後3日目に退院した。発症1か月後の2月20日腹部CT(図3)を再検した。入院時に認められた左後腹膜腔の水分密度領域は消失し,傍腎盂囊胞は1999年のCT所見とはほぼ同様であった。現在まで疼痛の再発,血尿などの症状を認めずに経過している。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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