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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科58巻8号

2004年07月発行

画像診断

術前診断が困難であった腎血管筋脂肪腫

著者: 町田竜也1 尾関全1 石坂和博1

所属機関: 1公立学共済組合関東中央病院泌尿器科

ページ範囲:P.629 - P.631

文献概要

 患 者 54歳,男性。

 主 訴 左腎腫瘍精査。

 既往歴 糖尿病。

 現病歴 糖尿病のために当院内科入院中に腹部超音波にて左腎下極に腫瘍を指摘され,2001年12月10日当科に紹介された。

 現 症 左側腹部に腫瘍触知,可動性あり。結節性硬化症は認めず。

 画像診断 腹部超音波にて左腎下極にhyperechoic massを認めた(図1)。造影CTにて左腎下極を取り囲むように,血管と思われる索状構造のある脂肪成分主体の腫瘍を認めた(図2)。脂肪抑制の造影MRI(T1強調画像)にて内部不整で一部境界不明瞭な腫瘍を認めたが,左腎の変形はなく腎周囲発生が示唆された(図3a, b)。

 左腎周囲に発生した脂肪肉腫と診断し,経腰的根治的左腎摘除術および腫瘍摘除術を行った。腫瘍周囲に癒着はなく,容易にGerota筋膜外側で剥離可能であり,腫瘍を左腎と一塊として摘除した。
 摘除標本 腫瘍は8.5×7.0×7.5cmで下極より膨隆性に発育し,周囲は被膜に包まれていた。割面は黄色であった。

 病理組織学的所見 腫瘍は腎実質内から連続するものであり,脂肪組織を主体として血管,平滑筋成分から構成されていた。またHMB-45陽性細胞も認められた。

 以上より腎外発育が著明な腎血管筋脂肪腫と診断された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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