文献詳細
綜説
文献概要
要旨
多発性囊胞腎は,疾患責任遺伝子PKD1, PKD2が同定され,病態についての理解が進んできた。囊胞形成には尿細管細胞の脱分化,炎症,血管新生,アポトーシスが関わっていることが明らかになり,いわば良性腫瘍と見なすべき疾患と考えられる。また血管平滑筋にも病変が生じ多発性囊胞腎患者に多い高血圧の原因となっている可能性がある。われわれはPkd1遺伝子欠損マウスを作成しその表現型と分子異常を明らかにし,チアゾリン系薬剤PPARγアゴニストが腎囊胞形成の分子異常をin vivoで改善することを見いだした。PPARγアゴニストは,現在腎不全進行に対して治療法のないADPKDの治療薬となる可能性が期待される。
多発性囊胞腎は,疾患責任遺伝子PKD1, PKD2が同定され,病態についての理解が進んできた。囊胞形成には尿細管細胞の脱分化,炎症,血管新生,アポトーシスが関わっていることが明らかになり,いわば良性腫瘍と見なすべき疾患と考えられる。また血管平滑筋にも病変が生じ多発性囊胞腎患者に多い高血圧の原因となっている可能性がある。われわれはPkd1遺伝子欠損マウスを作成しその表現型と分子異常を明らかにし,チアゾリン系薬剤PPARγアゴニストが腎囊胞形成の分子異常をin vivoで改善することを見いだした。PPARγアゴニストは,現在腎不全進行に対して治療法のないADPKDの治療薬となる可能性が期待される。
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