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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科59巻10号

2005年09月発行

画像診断

静脈性腎盂造影腹臥位像にて発見された尿膜管性膀胱憩室

著者: 鈴木一実1 森田辰男1

所属機関: 1自治医科大学医学部腎泌尿器外科学講座

ページ範囲:P.785 - P.787

文献概要

患 者 49歳,男性。

 主 訴 右下腹部痛。

 既往歴 40歳,心房中隔欠損症で手術。下腹部手術や臍炎,尿路感染症の既往なし。

 現病歴 2005年1月4日より右下腹部痛が出現した。約2時間で軽快したが,症状を繰り返すため1月6日当院総合診療部を受診,右尿管結石が疑われ同日当科に紹介された。

 現 症 臍部を含め胸腹部に異常所見なし。

 検査所見 血液一般および血液生化学検査に異常を認めず,尿検査で赤血球多数/HPFを認めた。

 画像所見 腎超音波検査では両側腎に結石および水腎症を認めなかった。KUBにおいても結石陰影は不明であり,IVP(仰臥位15分像)にて腎,尿管,膀胱に異常所見を認めなかった(図1A)。IVP(腹臥位15分像)にて膀胱頂部より頭側に向かう帯状に造影された陰影を認めた(図1B)。尿膜管異常を疑いMRIおよび膀胱鏡検査を施行した。MRIでは帯状に伸びた部分は徐々に先細りし,臍との交通はみられなかった(図2)。膀胱鏡検査では頂部に憩室口を認め,憩室内に膀胱鏡を進めると,先端は盲端となっており,粘膜に不整像を認めなかった(図3)。以上より尿膜管性膀胱憩室と診断した。

 経 過 1月6日より右下腹部痛は消失し,2月10日に行った尿検査では顕微鏡的血尿も認められなかった。今回のエピソードは右尿管結石の自然排石の可能性が考えられ,また尿膜管性膀胱憩室は無症状であり経過観察とした。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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