臨床泌尿器科59巻3号

2005年03月発行

症例

腎盂腫瘍との鑑別が困難であったベリニ管癌

著者： 須山太助¹ 大平直¹ 中居敏明¹ 野澤英雄¹ 堀眞佐男²

所属機関： ¹水戸赤十字病院泌尿器科 ²水戸赤十字病院病理

ページ範囲：P.229 - P.231

文献概要

症例は44歳，男性。肉眼的血尿を主訴に来院。腹部超音波，IVP，CT，膀胱鏡より右腎盂腫瘍の診断にて右腎尿管全摘除術を行った。肉眼的所見は腎中極に囊胞変化を伴い，黄白色の液状物を認める40mm大の腫瘍を認めた。病理組織学的検査にて集合管由来の腫瘍であった。化学療法などのあと治療を検討していたが，自己判断で来院せず，経過不明である。

参考文献

1）Cromie WJ, Davis CJ and DeTure FA：Atypical carcinoma of kidney：possibly originating from collecting duct epithelium. Urology 13：315-317, 1979

2）日本泌尿器科学会・日本病理学会・日本医学放射線学会（編）：腎癌取扱い規約．第3版．金原出版，東京，1999

3）松嵜　理，長尾孝一：腎遠位尿細管系腫瘍，とくにベリニ管癌の臨床病理学的研究．病理と臨床8：740-746，1990

4）平野章冶，川口正一，美川郁夫，他：集合管由来と考えられた腎細胞癌の2例．西日泌尿55：461-465，1993

5）須江洋一，国枝　学，山口　聡，他：ベリニ管由来と考えられた腎腫瘍の1例．泌尿紀要43：213-216，1997

6）鈴木正章：ベリニ管癌．取り扱い規約に沿った腫瘍鑑別診断アトラス「腎臓」．文光堂，東京，1994

7）菊地　泰，藍沢茂雄，二階堂 孝，他：腎細胞癌発生母地の組織化学的診断．臨泌41：951-955，1987

8）Singh I and Nabi G：Bellini duct carcinoma：Review of diagnosis and management. Int Urol Nephrol 34：91-95, 2002

9）川西博晃，青山輝義，吉田　徹，他：ベリニ管癌の一例．泌尿紀要46：401-404，2000