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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科59巻3号

2005年03月発行

文献概要

学会印象記

第7回アジア泌尿器科会議に参加して

著者: 朝倉博孝1

所属機関: 1東京電力病院泌尿器科

ページ範囲:P.252 - P.253

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今回は,香港コンベンション&エキジビションセンターにて2004年10月29日から11月5日まで開催された第7回アジア泌尿器科会議に参加してきました。学会前会議として,第13回アジアエンドウロロジー学会内視鏡・体腔鏡ワークショップとアジア環太平洋泌尿器科腫瘍学会議シンポジウムが開催されました。後者の会議には,実際に参加いたしましたが,日本からの発表者も数名おりました。特に,岡山大学の公文先生の発表では,分子生物学的手法を利用したがん治療法は有望であるが,製薬会社サイドから考えるとビジネスとしての採算性やリスクの問題を考えると研究しにくいのではないかと述べられていたのが印象的でした。10月30日には,クイーンエリザベス病院において尿路再建・婦人泌尿器科ワークショップが開催されました。朝8時半から午後5時まで,数々の手術が実演されました。特に,興味深かったのは,尿道下裂の手術既往のある尿道狭窄の症例で,口腔粘膜のグラフトを用いた修復術でした。普段,なかなか見る機会のない手術だったので,貴重な経験となりました。手術成績は80%くらいの成功率ということでした。また,現在の尿道スリング手術はTVT(tension free vaginal tape)が主流であると思われますが,次世代の主流となりうるTOT(transobturator tape,閉鎖孔にテープを通す)の実演もありました。その実演では,膀胱穿孔を起こしてしまうというハプニングがあり,東洋人の骨盤腔は狭いとか,針が大きすぎるとか言ってその場をとりつくろっておりましたが,TVTと同様に,テープを抜去し再挿入すれば問題ないと何事もなかったように迅速に対応しているのはさすがと思いました。

 本会議は,11月1日から5日まで行われました。午前8時から午後1時まで,本会議セッション,ラウンドテーブルセッション,シンポジウム,ランチョンセミナー,一般参加者による口演やポスターによる発表が行われるfree paper session,教育講演という盛りだくさんのスケジュールでした。一部を除き,直列にプログラムが組まれているので,重要なセッションは,ほとんどすべて聴講できるにようになっておりました。しかし,セッションの開始時間の遅れや各セッションの時間オーバーなどで,どんどんプログラムの進行が遅れるのは問題だと思いました。日本からの招聘講演もいくつかあり,SIU lectureでは,赤座先生が前立腺癌におけるホルモン療法について,UAA lectureでは,九州大学の熊澤先生が尿路感染症について発表されておりました。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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