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特集 ここが聞きたい―泌尿器科外来における対処と処方 1.尿路・性器の炎症性疾患 ■非特異性感染症 【膀胱炎】
2.頻尿,残尿感があるけれども,尿検査(尿沈査)では異常が認められない患者です。患者は,「どこへ行っても異常がないといわれる」と訴えています。対処と処方について教えて下さい。
著者: 三木健太1
所属機関: 1東京慈恵会医科大学泌尿器科
ページ範囲:P.18 - P.19
文献購入ページに移動頻尿や残尿感は,泌尿器科だけでなく,あらゆる診療科で経験するごく一般的な訴えであるが,その原因はさまざまである。症状の改善や正確な診断が得られないことが不満で,患者がほかの医療機関を受診してしまうことも比較的頻繁に経験する。設問の患者のように,尿検査で異常が認められない場合は深刻な病態である可能性は低いので,本人の心配する気持ちを理解しつつ不安感を取り除くような説明をすることが重要である。まず,頻尿の状態をできるだけ正確に把握する必要がある。また,残尿が本当にあるのかどうかの測定も不可欠である。このような患者は,いわゆる不定愁訴として考えられてしまいがちだが,現実に異常がないのであればそのことを説明し,不安感を取り除いてあげることが重要である。
2 診療方針
患者はすでにほかの医療機関を受診している可能性が高く,医師にすぐに回答を迫るような状況が考えられるが,まずは問診により新たな情報がないかを確認することが大事である。排尿の状態を把握するために以下の点に注意し情報を集める。(1)1回の排尿量はどのくらいか,(2)1日の排尿量はどのくらいか.多尿ではないか,(3)頻尿は昼間か,夜間か,1日中か,(4)残尿はどの程度か,(5)夜間頻尿のときは十分な睡眠がとれているのか,(6)排尿に影響するような他科の内服薬などはないか,(7)生活習慣のなかで水分や食物の摂取の方法に偏りがないか,などである。
参考文献
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