文献詳細
特集 ここが聞きたい―泌尿器科外来における対処と処方
1.尿路・性器の炎症性疾患 ■非特異性感染症 【腎盂腎炎】
5.発熱,側腹部痛,膿尿により急性腎盂腎炎と診断した患者です。外来治療から入院治療に移行する基準について教えて下さい。また,外来,入院での治療方法について教えて下さい。
著者: 浅野友彦1
所属機関: 1防衛医科大学校泌尿器科
ページ範囲:P.30 - P.31
文献概要
急性腎盂腎炎のうち,軽症の場合は外来での経口抗菌薬の投与で治療可能であるが,重症の場合には敗血症,ショック,DICを起こすことがあるので,入院のうえ点滴,抗生物質投与などの治療が必要になる。外来を受診した急性腎盂腎炎の患者が,軽症か,重症かを判断する重症度の分類基準というものは明確にされていないが,39℃以上の発熱,嘔吐の有無,脱水の程度,糖尿病などの基礎疾患の有無,年齢,尿路系の器質的疾患の有無などが判断の根拠となるであろう。また,検査データでは,CRP>15mg/dリットル,WBC>15,000である場合にも重症と判断してよいであろう。
2 外来で治療可能な場合
37~38℃台の発熱で嘔吐などの消化器症状がなく,尿路系の器質的疾患がなく,糖尿病などの基礎疾患がなければ軽症と判断して,外来での抗菌薬の内服投与で治療可能である。尿路系の器質的疾患の存在が疑われれば,この時点でKUBや超音波検査で結石や水腎症のないことを確認しておくのがよいと思われる。単純性急性腎盂腎炎の場合,約80%が大腸菌による単独菌感染であり,抗菌薬に対して良好な薬剤感受性を示す。日本感染症学会,日本化学療法学会編の「抗菌薬使用の手引き」1)では,軽症の急性腎盂腎炎に対する薬剤として,第一選択はニューキノロン系薬の7~14日間投与,第二選択として経口のペニシリン系またはセフェム系薬の投与が勧められている。
参考文献
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