文献詳細
特集 ここが聞きたい―泌尿器科外来における対処と処方
1.尿路・性器の炎症性疾患 ■非特異性感染症 【尿道炎】
文献概要
1 診療の概要
尿道炎は性行為によって感染する性感染症の1つである場合と,性行為によらないものとに分けられるが,性感染症によるものが圧倒的に多い。いずれにせよ,診断には性的接触の有無を含めた現病歴を聴取することが重要である。症状は排尿時尿道痛と,男性では尿道から排膿が認められるが,女性では症状が乏しいこともある。淋疾では2/3が無症状といわれ,さらに症状のない一般婦人でもクラミジアの保菌率は5%前後と報告されている1,2)。性感染症では,男性は尿道炎として発症するが,女性ではむしろ子宮頸管炎,つまり頸管分泌物が認められることで診断されることが多い。
診断は,尿道から膿状の分泌物が出ている場合には容易であるが,はっきりとした膿がみられない場合は,尿沈渣では見落とすことがあり,尿道分泌物を塗抹染色し白血球,菌の有無を確認する必要がある。染色標本でも菌の形態を観察することで起因菌の見当をつけることができ,治療には有用な情報である。少なくとも塗抹標本で白血球を認めれば炎症の存在が確認できるわけで,尿道分泌物の一般菌培養,双球菌を認め淋菌が疑われれば淋菌の培養を行い,クラミジア感染症の診断のために最近では遺伝子診断法による検査を行う。特にPCR法,LCR法では初尿の検体でも検査可能である。淋菌培養は適切な培地を使用しないと検出が困難なため注意を要する。近年では淋菌に対してもPCR法が臨床で用いられているが,最近問題となっている多剤耐性菌3)の判断は培養,感受性検査をしないとわからないので,菌の培養と感受性検査は行っておいたほうがよい。原則的には検出された細菌に対する抗菌薬を投与するわけだが,細菌培養やPCR法の結果が診療中に出ることはないので,現病歴,尿道分泌物の性状,分泌物の塗抹染色を検鏡して原因菌を推定し,治療を開始することになる。
尿道炎は性行為によって感染する性感染症の1つである場合と,性行為によらないものとに分けられるが,性感染症によるものが圧倒的に多い。いずれにせよ,診断には性的接触の有無を含めた現病歴を聴取することが重要である。症状は排尿時尿道痛と,男性では尿道から排膿が認められるが,女性では症状が乏しいこともある。淋疾では2/3が無症状といわれ,さらに症状のない一般婦人でもクラミジアの保菌率は5%前後と報告されている1,2)。性感染症では,男性は尿道炎として発症するが,女性ではむしろ子宮頸管炎,つまり頸管分泌物が認められることで診断されることが多い。
診断は,尿道から膿状の分泌物が出ている場合には容易であるが,はっきりとした膿がみられない場合は,尿沈渣では見落とすことがあり,尿道分泌物を塗抹染色し白血球,菌の有無を確認する必要がある。染色標本でも菌の形態を観察することで起因菌の見当をつけることができ,治療には有用な情報である。少なくとも塗抹標本で白血球を認めれば炎症の存在が確認できるわけで,尿道分泌物の一般菌培養,双球菌を認め淋菌が疑われれば淋菌の培養を行い,クラミジア感染症の診断のために最近では遺伝子診断法による検査を行う。特にPCR法,LCR法では初尿の検体でも検査可能である。淋菌培養は適切な培地を使用しないと検出が困難なため注意を要する。近年では淋菌に対してもPCR法が臨床で用いられているが,最近問題となっている多剤耐性菌3)の判断は培養,感受性検査をしないとわからないので,菌の培養と感受性検査は行っておいたほうがよい。原則的には検出された細菌に対する抗菌薬を投与するわけだが,細菌培養やPCR法の結果が診療中に出ることはないので,現病歴,尿道分泌物の性状,分泌物の塗抹染色を検鏡して原因菌を推定し,治療を開始することになる。
参考文献
1)広瀬崇興,塚本泰司:男子の尿路・性器STD.臨泌50:295-302,1996
2)保田仁介:若年女性の性器クラミジア感染症.日医雑誌126:1141-1144,2001
3)田中正利,内藤誠二:耐性淋菌とその対策.泌尿器科外科13:367-373,2000
4)田中正利,熊沢浄一:性感染症の診断と治療.新図説泌尿器科学講座(2)第1版.メジカルビュー社,pp163-179,1999
5)早川隆啓,三矢英輔,小島宗門,他:男子尿道炎414例についての臨床的検討.日泌尿会誌93:450-456,2002
6)淋菌感染症性感染症.日本性感染症学会誌15:8-13,2004
7)性器クラミジア感染症.日本性感染症学会誌15:14-16,2004
掲載誌情報