文献詳細
特集 ここが聞きたい―泌尿器科外来における対処と処方
1.尿路・性器の炎症性疾患 ■非特異性感染症 【尿管炎】
文献概要
1 診療の概要
濾胞性尿管炎とは,濾胞(囊胞)を形成する尿路疾患の1つである。濾胞とは,多数の細胞から成る完全に閉じた胞状構造を意味し,形態的な画像上の所見を表している。また囊胞とは,固有の壁を持ち,中に流動体などを含んだ囊を意味し,主に組織学的な所見を意味し,表している1)。よって,濾胞性の表現は濾胞(囊胞)性として解説をしていく。
濾胞(囊胞)性尿管炎は尿管粘膜下に多数の小囊胞を形成する稀な疾である。尿管だけにとどまらず腎盂との両粘膜に発生する症例もみられるため,濾胞(囊胞)性腎盂尿管炎と診断されることもある。本症における囊胞の形成機序は,主に尿路感染症や尿路結石による慢性的な機械的刺激が誘因であるというBrunnら2)の説が有力とされている。そのほかの誘因としては,尿中に排泄される毒素,寄生虫3),ビタミンA欠乏,あるいは先天性因子なども提唱されているが,まだ定説を得るには至っていない4)。
濾胞性尿管炎とは,濾胞(囊胞)を形成する尿路疾患の1つである。濾胞とは,多数の細胞から成る完全に閉じた胞状構造を意味し,形態的な画像上の所見を表している。また囊胞とは,固有の壁を持ち,中に流動体などを含んだ囊を意味し,主に組織学的な所見を意味し,表している1)。よって,濾胞性の表現は濾胞(囊胞)性として解説をしていく。
濾胞(囊胞)性尿管炎は尿管粘膜下に多数の小囊胞を形成する稀な疾である。尿管だけにとどまらず腎盂との両粘膜に発生する症例もみられるため,濾胞(囊胞)性腎盂尿管炎と診断されることもある。本症における囊胞の形成機序は,主に尿路感染症や尿路結石による慢性的な機械的刺激が誘因であるというBrunnら2)の説が有力とされている。そのほかの誘因としては,尿中に排泄される毒素,寄生虫3),ビタミンA欠乏,あるいは先天性因子なども提唱されているが,まだ定説を得るには至っていない4)。
参考文献
1)岩波 生物学辞典.第3版,1983
2)Von Brunn A:Under drusenahnliche Bildungen in der Schleimhaut des Nierenbekens, des Ureter und der Harnblase beim Menschem. Arch f Mikr Anat 41:229, 1893
3)Saad SM, Hanafy HM:Bilharzial(schistosomal)ureteritis cystica. Urology 4:261, 1974
4)Kindall L:Pyelitis cystica and ureteritis cystica, report of a case diagnosed by urography and confirmed by biopsy, with an outline of treatment. J Urol 29:645-659, 1933
5)山田裕紀,浅野晃司,阿部和弘,他:両側嚢胞性腎盂尿管炎の1例.泌尿紀要49:427-429,2003
6)和田郁生,市川晋一,森田 隆,他:嚢胞性腎盂尿管炎.臨泌41:795-797,1987
7)橋本 敏,秋元 晋,島崎 淳,他:嚢胞性腎盂尿管炎の1例―本邦における嚢胞性腎盂尿管炎42例の検討.西日泌尿50:1861-1864,1988
掲載誌情報