文献詳細
特集 ここが聞きたい―泌尿器科外来における対処と処方
1.尿路・性器の炎症性疾患 ■非特異性感染症 【精囊炎】
文献概要
1 診療の概要
臨床医にとって体液に血液が混じるという現象を観察することは,診療上の何らかの重大な警告と考える。精液に血液が混入するいわゆる血精液症は,果たして重篤な疾患のサインなのであろうか。1894年に発表されたGaz1)のreviewにおいては,Hippocratesによる血精液症の記載を認めると記されており,古くから精液に血液が混入する現象は観察されていた。また,この現象に対する疫学,病態生理学に基づく発症機序の検討もなされてきているが,1910年代から1970年代前半までは,そのほとんどが医原性と考えられてきた。
しかしその後,経直腸超音波診断装置やMRI(magnetic resonance imaging)などの新規検査装置の開発や,解剖学,生理学における新たな知見の蓄積に伴って,表1のように多岐にわたる原因の可能性が報告されている。大別すると,(1)炎症と感染,(2)精路の閉塞や囊胞,(3)腫瘍,(4)血管および凝固系の異常,(5)全身疾患,そして(6)医原性に分けられる。
臨床医にとって体液に血液が混じるという現象を観察することは,診療上の何らかの重大な警告と考える。精液に血液が混入するいわゆる血精液症は,果たして重篤な疾患のサインなのであろうか。1894年に発表されたGaz1)のreviewにおいては,Hippocratesによる血精液症の記載を認めると記されており,古くから精液に血液が混入する現象は観察されていた。また,この現象に対する疫学,病態生理学に基づく発症機序の検討もなされてきているが,1910年代から1970年代前半までは,そのほとんどが医原性と考えられてきた。
しかしその後,経直腸超音波診断装置やMRI(magnetic resonance imaging)などの新規検査装置の開発や,解剖学,生理学における新たな知見の蓄積に伴って,表1のように多岐にわたる原因の可能性が報告されている。大別すると,(1)炎症と感染,(2)精路の閉塞や囊胞,(3)腫瘍,(4)血管および凝固系の異常,(5)全身疾患,そして(6)医原性に分けられる。
参考文献
1)Gaz HJ:Hebd Med Chir 5:31, 113, 126, 1894
2)Fletcher MS, Herzberg Z, Pryor JP:The aetiology and investigation of haemospermia. Br J Urol 53:669-671, 1981
3)Papp GK, Hoznek A, Hegedüs M, et al:Hematospermia. J Androl 15:31-33, 1994
4)増永昭佳:血精液症の研究.日泌尿会誌59:1022-1030,1968
5)神座慎一郎,野口和美,穂坂正彦:血精液症107例の検討.泌尿紀要43:103-107,1997
6)Schaffer EM, Epstein JI, Walsh PC:Amyloidosis of the seminal vesicle and hematospermia. J Urol 171:2382, 2004
7)Ganabathi K, Chadwick D, Feneley RCL, et al:Hematospermia. Br J Urol 69:225-230, 1992
8)古屋聖児,小椋 啓,島村昭吾,他:ミューラー管嚢胞と射精管閉塞を原因とする慢性血精液症に対する経尿道的内視鏡手術.泌尿紀要47:839-842,2001
9)長谷川倫男,三木健太,加藤伸樹,他:血精液症のMRI.日泌尿会誌89:956-960,1998
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