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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科59巻4号

2005年04月発行

特集 ここが聞きたい―泌尿器科外来における対処と処方

1.尿路・性器の炎症性疾患 ■非特異性感染症 【精索炎】

13.左精索の腫脹と硬結を訴え,精索炎を疑う患者です。対処と処方について教えて下さい。

著者: 中島耕一1

所属機関: 1東邦大学医学部泌尿器科

ページ範囲:P.52 - P.54

文献概要

1 診療の概要

 鼠径部の違和感を主訴に来院する患者がいる。診察しても特に異常所見を認めないことも多いが,鼠径部であるからまず鼠径ヘルニアの存在を疑い診察を進めることになる。ヘルニアが除外されると,次にわれわれの専門領域である精索の異常の有無を検索する。表1に鼠径部に異常を訴えうる疾患を示す。

 ところで,設問は「左精索に腫脹と硬結を認める」患者の対応である。左側でかつ視触診でも実際に異常を認めるとなると,精索の閉塞性血栓性血管炎は想起すべき疾患である。決して報告例は多くないが,現在まで調べ得た限りでは桑原ら1)の報告で両側例を認めるだけで,1935年のMcGavinら2)の報告を最初にほかはすべて左側に生じた症例として報告されている。これらの報告のなかにBuerger病との関連を指摘するものがある3~5)

参考文献

1)桑原守正,松下和弘,中村晃二,他:精索の閉塞性血栓性血管炎の1例.泌尿紀要39:369-372,1993
2)McGavin D, Camb MB, Eng FRCS:Thrombosis of the pampiniform plexus. Lancet 17:368-369, 1935
3)McGregor AL, Simson FW:Thromboangitis obliterans:with special reference to a case involving the spermatic vessels. Br J Surg 16:539-554, 1929
4)Mathis RI, Clart AJ:Spontaneous phlebothrombosis of spermatic plexus in Leo Buerger's disease. Rev Assoc Med Argent 65:434-435, 1951
5)Nesbit RM, Hodgson NB:Thromboangitis obliterans of the spermatic cord. J Urol 83:445-447, 1960
6)Arce JD, Cortes M, Vargas JC:Sonographic diagnosis of acute spermatic cord torsion. Pediatr Radiol 32:485-491, 2002
7)Vincent MP, Bokinsky G:Spontaneous thrombosis of pampiniform plexus. Urology 17:175-176, 1981
8)Griffith J:The effect upon the testis of ligature of the spermatic veins, and of both artery and veins. J Anat Physiol 30:81-105, 1896

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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