文献詳細
特集 ここが聞きたい―泌尿器科外来における対処と処方
1.尿路・性器の炎症性疾患 ■非特異性感染症 【亀頭包皮炎】
14.亀頭包皮炎を繰り返す幼児です。対処と処方について教えて下さい。
著者: 守屋仁彦1 柿崎秀宏1 野々村克也1
所属機関: 1北海道大学大学院医学研究科腎泌尿器外科
ページ範囲:P.56 - P.57
文献概要
亀頭包皮炎は,包皮と亀頭の間で感染を起こし,陰茎先端の痒み,疼痛,腫脹をきたす疾患であり,その原因としては,包皮下の不潔な環境が挙げられている1)。不潔な環境を改善するために包茎に対して外科的治療を行うことの有用性は古代エジプト時代より示唆され,その時代から環状切除(circumcision)が行われているものの,外科的治療による局所の衛生の改善に関しては実は確固たるエビデンスがないまま現在に至っている。
実際,500名以上の新生児期を環状切除施行群と非施行群に分類し,8歳まで経過観察して陰茎疾患(炎症や包茎,環状切除術後の合併症など)の発生率をみた報告では,乳児期までは環状切除施行群に発生頻度が高く,それ以後になると環状切除非施行群において高くなるとしている2)。また,500名以上の12歳以下の男児の陰茎の問題を解析したほかの報告では,環状切除の施行の有無により,亀頭包皮炎の発生頻度や陰茎の衛生状態に有意差はなかったとされている3)。
参考文献
掲載誌情報