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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科59巻4号

2005年04月発行

特集 ここが聞きたい―泌尿器科外来における対処と処方

1.尿路・性器の炎症性疾患 ■特異性感染症 【カンジダ感染】

23.寝たきりの高齢者が発熱しました。全身検索を行ったところ,尿培養によりカンジダを検出しました。対処と処方について教えて下さい。

著者: 沼田功1

所属機関: 1古川市立病院泌尿器科

ページ範囲:P.82 - P.85

文献概要

1 診療の概要

 高齢者,糖尿病患者,抗生物質・抗癌薬・免疫抑制薬・ステロイド剤などの薬剤を投与されている患者,残尿の多い患者や尿路留置カテーテルの使用者は細菌性尿路感染症とともに真菌感染症の発生頻度も高く,特に真菌ではカンジダ症が多い。Kauffmanら1)の入院患者についての多施設調査では,真菌がみられた患者の状態は外科的処置後52.3%,糖尿病39%,尿路疾患37.7%,悪性疾患22.2%,栄養不良17%などで,感染部位は尿路感染43.3%,肺炎40%,菌血症23.6%,骨・関節感染12.8%で,真菌の種類はC. albicans 51.8%,C. glabrata 15.6%,C. tropicalis 7.9%,C. parapsilosis 4.1%で,77.6%の患者に尿道留置カテーテルが使用されていた。尿路ではC. albicansが多く,C. krusei,C. tropicalis,C. glabrataなど数種類のカンジダ属がみられ,腎盂腎炎,膀胱炎,尿道炎を生じる。

 抗生物質の使用で正常細菌叢が欠如することにより尿中カンジダの増殖をきたし,抗生物質の種類によって抗カンジダ抗体の形成や貪食能が抑制される。尿道,膀胱カンジダ症は外尿道よりの逆行性感染であるが,腎カンジダは,通常,血行性播種が多い。

参考文献

1)Kauffman CA, Vazquez JA, Sobel JD, et al:Prospective Multicenter Surveillance Study of Funguria in Hospitalized Patients. Clin Infect Dis 30:14-18, 2000
2)Goldberg PK, Kozinn PJ, Wise GJ, et al:Incidence and significance of candiuria. JAMA 241:582-584, 1979
3)Wise GJ, Freyle J, Proctic J:Fungal(Candida)Infection of the Urinary Tract. AUA Update Series, Houston. AUA Office of Education 21:114-119, 2002
4)粟田成毅,河合憲康,小島由城経,他:複雑性尿路真菌症に対するフルコナゾールの臨床効果.西日58:549-552,1996
5)Gubbins PO, McConnell SA, Penzak SR:Therapy Update Current management of funguria. Am J Health-Syst Pharm 56:1929-1938, 1999
6)伊藤 章:尿路,性器カンジダ感染症.螺良英郎(監修):Candidiasis.協和企画通信,pp79-84,1994
7)川上 裕,祖父江聡,阿部雅秋,他:深在性真菌症治療薬ホスフルコナゾール(プロジフ)静注液の非臨床試験および臨床試験成績.日本薬理学雑誌124:41-51,2004
8)大川光央,徳永周二:<疾患別薬剤投与プロトコール・感染症>尿路真菌症.臨泌47:133-135,1993

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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