臨床泌尿器科59巻4号

2005年04月発行

特集 ここが聞きたい―泌尿器科外来における対処と処方

2．神経因性膀胱障害と尿失禁 ■尿失禁 【切迫性尿失禁】

40．トイレに行くまでに尿が漏れてしまうという50歳の女性患者です。対処と処方について教えて下さい。

著者： 影山慎二¹

所属機関： ¹しお医院

ページ範囲：P.144 - P.145

文献概要

1　診療の概要

　設問からだけでは，問診を詳しく行なわないと腹圧性の尿失禁も合併している混合性の尿失禁かもしれないが，切迫性尿失禁が主体であると考え，処方などについて述べる。

　切迫性尿失禁は，文字通り切迫感（urgency）を伴う尿失禁である。切迫感はICSの定義によれば，急に起こる，抑えられないような強い尿意であり，我慢することが困難なものである^1）。過活動膀胱（OAB）の一部として（図1），今後その疾患の概念が一般市民に普及するにつれ，治療患者が増加する疾患の1つであると考えられる。

参考文献

1）本間之夫，西沢　理，山口　脩：下部尿路機能に関する用語基準：国際禁制学会標準化部会報告．NBS 14：278-289，2003

2）伊藤国夫，西　利道：頻尿・尿失禁患者における塩酸プロピベリン（バップオー錠）の使用成績の集計結果．薬理と治療30：1023-1036，2002

3）Araki T, Yokoyama T, Kumon H：Effectiveness of a nonsteroidal anti-inflammatory drug for nocturia patients with BPH：A prospective non-randomized study of loxoprefen sodium 60mg once daily before sleeping. Acta Medica Okyama 58：45-49, 2004

4）鈴木俊秀，河邉香月，影山慎二，他：頻尿・尿意切迫・尿失禁に対する干渉低周波治療器“TEU-20”の長期成績．泌尿外7：529-540，1994

5）Igawa Y, Komiyama I, Nishizawa S, et al：Intravesical capsaicin inhibits autonomic dysreflexia in patients with spinal cord injury. Neurourol Urody 15：374-376, 1994