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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科59巻4号

2005年04月発行

文献概要

特集 ここが聞きたい―泌尿器科外来における対処と処方 3.前立腺肥大症 【前立腺肥大症】

49.前立腺肥大症に対するα1ブロッカーの使い分けについて教えて下さい。また,高温度療法の位置づけについても教えて下さい。

著者: 横田崇1

所属機関: 1福島県立医科大学泌尿器科

ページ範囲:P.173 - P.176

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1 前立腺肥大症に対する治療

 従来,前立腺肥大症(benign prostatic hypertrophy:以下,BPH)の治療は尿道閉塞を解除する手術療法が主体であった。しかし術後の状態に満足しない(できない)患者が約15~30%存在すること1)や,手術合併症(出血,尿路感染症,尿失禁,逆行性射精など)の問題,さらには排尿に対する膀胱内圧尿流同時測定(pressure-flow study:PFS)の検討で,BPH患者の排尿障害に尿道閉塞のほかに膀胱機能障害によるものもあることが判明し,BPH治療法は低侵襲療法が選択されるようになった。薬物療法はその最たる低侵襲性の治療法として認識され,そのなかでも薬理作用がほぼ解明されたα1ブロッカーは,速効性で安全性が高く,副作用が少ないという利点から第一選択薬に位置づけられている。

 一方BPH症例のなかには薬物療法のみでは症状が改善せず,手術療法に移行する症例が少なからず存在する。手術療法のなかで経尿道的前立腺切除術(transurethral prostatectomy:以下,TURP)は今もゴールド・スタンダードであることに変わりはないが,BPHは高齢者の病気であり,それゆえ全身的合併症のために手術困難なハイリスク症例も少なくなく,患者のQOLを考えた場合やはりより侵襲の小さい手術療法が選択されることも多い。高温度療法はTURPに代わる「夢の低侵襲性手術」として登場したわけであるが,さまざまな問題点を指摘され,治療効果の面でTURPを凌駕するまでには至っていないのが実情である。

参考文献

1)Rollema HJ, Mastright RV:Improved indication and follow-up in transurethral of the prostate using the computor program CLIM:A prospective study. J Urol 148:111-115, 1992
2)林 哲夫,酒井康之,斎藤一隆,他:前立腺肥大症に対するナフトピジルと塩酸タムスロシンの臨床効果の比較検討(先行薬剤無効例に対する他剤への切り替え効果).泌尿器科紀要48:7-11,2002
3)Nasu K, Moriyama N, Fukasawa R, et al:Quantification and distribution ofα1-adrenoceptor subtype mRNA in human prostate:Comparison of benign hypertrophied tissue and non-hypertrophied tissue. Br J Pharmacol 119:797-803, 1996
4)Malloy BJ, Price DT, Price RR, et al:α1-adrenergic receptor subtypes in human detrusor. J Urol 160:937-943, 1998
5)Smith MS, Schambra UB, Wilson KH, et al:Alpha 1-adrenergic receptors in human spinal cord:Specific localized expression of mRNA encording alpha 1-adrenergic receptor subtypes at four distinct levels. Mol Brain Res 63:254-261, 1999
6)Nomiya M, Yamaguchi O:A quantitative analysis of mRNA expression ofα1-andβadrenoceptor subtypes and their functional roles in human normal and obstructed bladder. J Urol 170:649-653, 2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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