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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科59巻4号

2005年04月発行

特集 ここが聞きたい―泌尿器科外来における対処と処方

5.腫瘍(外来化学療法) 【癌性疼痛】

69.癌性疼痛に対してモルヒネを使用したところ嘔気・嘔吐をきたした患者です。予防薬剤はどのくらいの期間使用するのがよいのでしょうか。また,中止する目安はありますか。

著者: 小杉志都子1 武田純三1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部麻酔科

ページ範囲:P.250 - P.252

文献概要

1 診療の概要

 WHO方式癌疼痛治療法が普及し,わが国においてもモルヒネをはじめとするオピオイドが癌疼痛治療に広く用いられるようになってきた。最近では,モルヒネに代わるオピオイドとしてフェンタニルパッチやオキシコドン徐放剤などが発売され,薬の選択の幅が広がってきている。しかし,オピオイドによる副作用により,十分な鎮痛効果が得られるまで増量することができない例があることも事実である。

 オピオイドの副作用の1つとして嘔気・嘔吐があり,経口モルヒネで40~50%,経口オキシコドン,フェンタニルパッチで30~40%の発生頻度である。特にオピオイドの投与初期,あるいは投与量を増量したときに生じやすく,鎮痛用量の約1/10量という低用量でも出現する1)。しかし約1~2週間で耐性が形成されるため嘔気・嘔吐は減弱し,さらに十分な鎮痛用量に達すると嘔気・嘔吐は消失すると考えられている。

参考文献

1)鈴木 勉:モルヒネの低用量投与では,なぜ副作用しかでないのか.オピオイド治療―課題と新潮流.エルゼピアサイエンスミクス,pp25-34,2001
2)津崎晃一(訳):悪心と嘔吐.緩和ケアハンドブック.メデイカルサイエンスインターナショナル,pp125-134,1999
3)Vella-Brincat J, Macleod AD:Haloperidol in palliative care. Palliat Med 18:195-201, 2004
4)Radbruch L, Sabatowski R, Loick G, et al:Constipation and the use of laxatives:a comparison between transdermal fentanyl and oral morphine. Palliat Med 14:111-119, 2000
5)Aapro MS:Corticosteroids as antiemetics. Recent Results Cancer Res 108:102-111, 1988

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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