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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科59巻4号

2005年04月発行

特集 ここが聞きたい―泌尿器科外来における対処と処方

6.内分泌疾患 ■性分化異常 【性分化異常】

75.外性器が男児か女児かわからない新生児です。今後の治療方針と対処について教えて下さい。また,どのように両親に説明すればよいでしょうか。

著者: 林祐太郎1 小島祥敬1 丸山哲史1

所属機関: 1名古屋市立大学大学院医学研究科腎・泌尿器科学分野

ページ範囲:P.272 - P.276

文献概要

1 診療の概要

1.男女の性別を規定する因子

 男女の性別を規定する因子は決して単一のものではない。(1)性染色体,(2)性腺,(3)内性器,(4)外性器,(5)性ホルモンによる第二次性徴(内分泌状態),(6)法律上の性,すなわち戸籍などに登録された性,(7)心理的要素を含んだ社会的な性,などさまざまなものがあり(表1),それらが女・男それぞれで統一された状態になるのが一般的な正常な性となる。これらに問題が生じた状態を性分化異常症という。

2.Y染色体と精巣決定因子,性決定遺伝子

 ヒトの性分化の過程における最初のステップは性染色体の構成である。1960年に国際的に哺乳動物の性染色体構成は,雄性がXY,雌性がXXであると取り決められた。性染色体の組み合わせからY染色体上に未分化な生殖腺を精巣に分化させる遺伝子が存在すると考えられ,その遺伝子産物が精巣決定因子(testis determining factor:TDF)と名付けられた。1989年にSRY(sex-determining region Y:性決定遺伝子)がクローニングされ,1991年にマウスXX個体へのSRYの遺伝子導入により雄性化が起こったことから,精巣決定因子としてSRYが確定した。性分化機構の解明と同時に性分化異常症の発生原因の解明が始まり,これまでにWT-1,SOX9,Ad4BP/SF-1,DAX-1などが性分化に不可欠な因子であることが明らかになってきた。

参考文献

1)細川尚三,島田憲次,松本冨美,他:Ambiguous genitaliaを持つ新生児の性決定.“性決定委員会”の実状について.泌尿器外科9:553-557,1996
2)山口孝則:性別不詳児が生まれたときに知っておきたいこと.性分化異常の基礎知識 7 性別決定後の長期フォローアップ.ウロ・ナーシング7:1078-1083,2002
3)Kojima Y, Hayashi Y, Kohri K, et al:Detection of the sex-determining region of the Y chromosome in 46, XX true hermaphroditism. Urol Int 60:235-238, 1998

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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