icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科59巻4号

2005年04月発行

特集 ここが聞きたい―泌尿器科外来における対処と処方

6.内分泌疾患 ■精巣および性機能障害 【男性不妊症】

78.精液に白血球が多く混じっている病態は妊孕性に影響があるのでしょうか。また,症状がなくとも治療すべきでしょうか。なかなか治らないのですが,どの程度の期間,抗生物質の投与を続けるべきでしょうか。

著者: 石川博通1 宮地系典1

所属機関: 1東京歯科大学市川総合病院泌尿器科

ページ範囲:P.282 - P.283

文献概要

1 診療の概要

 精液中に円形細胞(一応,白血球と考える)が5個/1視野以上認められた場合には膿精液症と診断する。一方,未熟な精細胞も円形細胞であるので,無染色の標本では白血球と見分けることはきわめて困難であり,特にこの細胞の脱落の多い高度精子形成障害例では,射出されたままの精液の所見で膿精液症と確診することは不可能である1)。最終的に2種類の細胞を鑑別するにはギムザ染色などを行う必要があるが,日常の臨床でこれを行うことは難しい2)

 そこで,一般的に精液所見で円形細胞が多く,細菌数も増加している場合に膿精液症と考え,前立腺の触診および尿所見で診断する。すなわち,直腸診で前立腺部に腫脹または圧痛があり,前立腺マッサージ後の尿(VB3)で白血球数10個/1視野以上を認めれば慢性前立腺炎3)が存在し,それが膿精液症の原因になっているものと考える。

参考文献

1)佐藤和宏,折笠精一,前原郁夫,他:精子無力症における精子微細構造について.第5報:膿精液症および正常者の精子,精子細胞などの微細構造について.日不妊会誌35:263,1990
2)佐藤和宏,折笠精一,前原郁夫,他:男性不妊症における膿精液症(pyospermia)の診断と治療について.日不妊会誌35:569-572,1990
3)守殿貞夫,荒川創一,石神穣次,他:前立腺炎における化学療法の薬効評価法について.泌尿紀要35:427-445,1989
4)El-Demiry M, Young H, Elton RA, et al:Leukocyte in the ejaculate from fertile and infertile men. Brit J Urol 58:715, 1986
5)Roger BJ:Clinical application of the sperm penetration assay(SPA)in diagnosing and treating male infertility. Int J Androl Suppl 6:59, 1986
6)佐藤滋彰,佐藤和宏,折笠精一,他:男性不妊症における膿精液症(pyospermia)に関する基礎的,臨床的検討.日泌尿会誌81:170,1990

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら