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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科59巻4号

2005年04月発行

特集 ここが聞きたい―泌尿器科外来における対処と処方

7.腎不全 【慢性腎不全】

84.肝硬変の合併により腹水管理に難渋している血液透析患者です。対処について教えて下さい。

著者: 武本佳昭1

所属機関: 1大阪市立大学大学院医学研究科泌尿器病態学

ページ範囲:P.303 - P.305

文献概要

1 診療の概要

 肝硬変に伴う腹水が維持血液透析患者に発生した場合は難治性になることが多いが,まず腹水の原因および発生機序について考えていく必要がある。腹水とは生理的限界を超えて腹腔に貯留した液体または液体が貯留した状態のことを意味し,肝硬変における腹水発生の機序は2つに分けて考えられる。

1.血漿浸透圧の低下

 非代償性肝硬変では,肝臓での合成能の低下に伴いアルブミンの合成が低下し,血漿浸透圧が低下する。このため血管内に保持できる水分量が減少し,腹水が発生するようになる。特に慢性維持透析患者では透析間の水分増加があるため,溢水状態になりやすく,漏出性の腹水が発生しやすい病態を有している。血中アルブミン濃度は腹水の発生しやすさの指標になり,正常では3.8~5.1g/dリットルであるが,3.0g/dリットル以下になると腹水が発生しやすくなるといわれている。

参考文献

1)富松昌彦:腹水・腹膜炎.腎と透析49(別冊 慢性腎不全のすべて):751-753,2000
2)稲垣 豊:腹水.越川昭三(編):透析療法における合併症.医薬ジャーナル社,東京,1994
3)熊谷純子,川西秀樹,浅木森幸晃,他:難治性腹水に対する血液透析中on-line腹水回路内注入療法の有効性について.腎と透析44(別冊HDF療法98):99-102,1998

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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