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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科59巻4号

2005年04月発行

特集 ここが聞きたい―泌尿器科外来における対処と処方

8.そのほか 【腎梗塞】

89.突然の腎部疼痛・肉眼的血尿で腎梗塞が疑われる患者です。対処と処方について教えて下さい。

著者: 武藤智1 堀江重郎1

所属機関: 1帝京大学医学部泌尿器科

ページ範囲:P.322 - P.324

文献概要

1 診療の概要

 腎梗塞とは,片側あるいは両側性に腎動脈本幹またはその分枝が塞栓や血栓により閉塞し,その末梢での循環障害が起こり腎組織が壊死に陥った状態である。腎梗塞は突然発症し,側腹部痛を主訴とする場合が多く,初診時には尿路結石を疑われる確率が高い。しかし,患者の約70%に心房細動,心弁膜症などの心血管系合併症を伴うため1),心血管系合併症を有する患者が側腹部痛にて来院した場合には,腎梗塞を念頭に置かねばならない。本邦の集計では,平均年齢51歳,男性に多く,患側に左右差を認めない2)

 腎梗塞は腎動脈閉塞のため血行が遮断され生じるが,他臓器からの血栓による塞栓症と,腎動脈自体の異状による血栓症に大別できる。塞栓症の原因としては前述した心血管系疾患のほかに,人工弁置換術後,血管手術,血管造影時のカテーテル操作などの医療行為が挙げられる。塞栓症の場合,同時性あるいは異時性に両側性,または他臓器にも梗塞が生じることが少なくない3)。特に心房内血栓に関しては,経皮心エコーにて異常を認めない場合でも経食道心エコーにて心房内血栓を確認できることが少なくない。また血栓症の原因としてはアテローム硬化,線維筋性増殖,大動脈炎症候群,外傷,動脈瘤,結節性多発性動脈炎,解離性動脈瘤などが挙げられる。

参考文献

1)塚 春俊,大山伸幸,清水保夫,他:腎梗塞の2例.西日泌尿56:1410-1413,1994
2)佐藤英一,岡 聖次,鄭 則秀,他:僧帽弁置換術後に発生した腎梗塞の1例.西日泌尿60:31-33,1998
3)三輪由司,熊田 倫,秋野裕信:異時性両側性腎梗塞の1例.泌尿紀要41:1003-1006,1995
4)小田 彰,梅森真理,和田英理,他:外傷性腎動脈閉塞3例―本邦27例の集計.臨外医会誌51:2053-2059,1990
5)小川正至,土屋 哲,栃本真人,他:腎動脈線溶療法が有効であった腎動脈塞栓症.泌外11:1037-1039,1998
6)梶尾恭平,作間俊治,宮崎徳義,他:抗凝固療法を施行した腎梗塞の2例.西日泌尿59:120-123,1997

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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